こんにちは、マスラオです。
月に一度のお楽しみ、雇用統計についてのお話です。
雇用統計には、短期で高利益が稼げるビッグチャンスが転がっているので、
ぜひトレンドを見極められるようになりましょう!
雇用統計とは
米国労働省が毎月発表する、米国の雇用情勢を調べた景気関連の経済指標をいいます。
これは、全米の企業や政府機関などに対してサンプル調査を実施し、失業率や非農業部門就業者数、建設業就業者数、製造業就業者数、小売業就業者数、金融機関就業者数、週労働時間、平均時給などの10数項目の数字が発表されます。
通常、雇用情勢の変化は、個人所得や個人消費などに波及し、また今後の景気動向にも大きな影響を与えます。
現在、米雇用統計は、世界の経済指標の中で最も注目されており、外国為替市場や株式市場などのマーケットは、この発表の前後で大きく動くことが多いです。
また、本統計の中でも「非農業部門就業者数」と「失業率」の2項目が特に注目されており、FOMC(連邦公開市場委員会)の金融政策の決定にも大きな影響を与えます。
なお、毎月、米雇用統計に先だって、消費者信頼感指数やISM製造業景気指数、ADP雇用統計などでも雇用関連の数値の発表があり、これらを参考に様々な思惑で取引が行われ、米雇用統計に向けてマーケットは大きく盛り上がっていくことになります。
ちょっと長いですが、以下の点を抑えておけば大丈夫です。
・毎月発表される、為替市場に最も大きな影響を与える指標の一つ
・複数の関連した統計をまとめて「雇用統計」と呼ぶ
・直近の為替相場だけでなく、米国の金融政策にも影響を与える
雇用統計周辺の値動き
2018年8月雇用統計発表後の値動き
上図は、8月3日21:30の雇用統計発表後のドル円の値動きを30分足で見たものです。
発表後、ドルが対円で急激に下落しました。
その傾向は日が変わるまで続いています。
2018年8月ADP雇用統計発表後の動き
続いて、雇用統計の先行指標として注目されるADP雇用統計発表後の値動きを見てみましょう。
ADP雇用統計は、雇用統計が発表される1日か2日前に発表される民間の指標です。
労働省が発表する雇用統計と関連性が高いことから、この数値も注目されています。
さて、上図は、2018年8月1日21:15にADP雇用統計が発表されてからのドル円の値動きです。
特に、これといった傾向は見られません。
雇用統計との関連性という部分に注目してみましょう。
8月の雇用統計発表後、ドルが対円で下落していったのに対し、
ADP雇用統計発表後は、逆に上昇しています。
チャート上は、雇用統計とADP雇用統計に有意な関連性は見受けられません。
2018年7月雇用統計発表後の値動き
続いて、2018年7月の雇用統計発表後の値動きも見てみましょう。
こちらも、ドル円の30分足です。
7月6日21:30に雇用統計が発表された後、ドルが対円で下落しています。
8月と同じく、日をまたぐ頃までその傾向は変わりません。
2018年7月ADP雇用統計発表後の動き
続いて7月のADP雇用統計発表後のドル円30分足です。
こちらも有意な傾向は見つけられませんね。
強いて言えば、発表後一時的にドルが下落していますが、
その後段階的に戻し、日が変わる前後で再び下げています。
以降は、また段階的に上げていますね。
直近2ヶ月のまとめ
・雇用統計発表後、日が変わるまでは上か下どちらか一方向に進んでいる
・雇用統計発表の翌日に雇用統計発表前の水準まで戻している
・雇用統計とADP雇用統計の間に有意な関連性は見受けられない
雇用統計の結果とチャートの関連性
さて、2018年7月と8月は、雇用統計発表後、大きくドルが下落していましたが、
雇用統計の結果とチャートの上下にはどのような関係があるのでしょうか。
8月の雇用統計とチャート
まず、8月の雇用統計を見てみます。
非農業部門雇用者数は、結果が予想を下回っており(悪い)、
失業率は予想と変わりません(普通)。
端的に言って、非農業部門雇用者数が非常に悪いです。
雇用統計発表後のチャートの下落は、この結果を受けた形となっていますね。
次にADP雇用統計を見てみましょう。
ADP雇用統計では、結果が予想を上回っています。
ここで注意したいのが、ADP雇用統計をどのように用いるか、です。
兼ねてから「ADP雇用統計は雇用統計の先行指標である」と言ってきましたが、
先ほど見たとおり、ADP雇用統計発表後と雇用統計発表後では、チャートの相関性がありませんでした。
つまり、ADP雇用統計と雇用統計発表後で、チャートが同じ動きをしているために
「先行指標」と呼ばれているわけではないということがわかります。
では、なぜADP雇用統計が重視されているかというと、
トレーダーや投資家たちは、ADP雇用統計の数値を確認し、
その数値を基準にして雇用統計を見るのです。
重要なのは、ADP雇用統計そのもの(+その周辺のチャートの動き)ではなく、
ADP雇用統計と実際の雇用統計の結果を比較することなのです。
その上で、ADP雇用統計と雇用統計の数値を比較すると、
ADP雇用統計が22万、雇用統計が約16万です。
「大体22万くらいかな」と予想していた投資家にとっては、実際の数字以上に悪く見えてしまい、
これだけ大きな下落幅になったと言えるでしょう。
7月の雇用統計とチャート
それでは次に、7月の雇用統計を見てみましょう。
非農業部門雇用者数は、結果が予想を上回っており(良い)、
失業率も、結果が予想を上回っていますね(悪い)。
雇用統計の結果はほぼ予想通りだったこともあり、
それほど下げ幅は大きくありませんでした。
8月の日をまたぐまでの下げ幅が40銭ほどだったのに対し、こちらは25銭ほどです。
ただ、そこまで下落するような内容でもない気がします。
雇用統計後に発表されたISM非製造業指数が悪かったことが下落に影響したようです。
念のため、ADP雇用統計も見てみましょう。
ADP雇用統計は結果が予想を下回っています。
ただし、この場合比較すべきなのは、「ADPの結果」と「雇用統計の結果」です。
ADPの結果に比べると、雇用統計の結果は大分良いですよね。
市場の反応を予想してみると、
雇用統計の結果はADP雇用統計の結果に比べて好感されたことが予想できます。
なので、正直チャート上、下がる蓋然性はないなとも思うのですが、
ISMなど他の指標も含めてこれくらいの下げ幅になったということが言えると思います。
7月はやや難しい月でした。
直近2ヶ月のまとめ
・雇用統計の結果はある程度チャートに反映されるが、他の指標が影響するときもある
・ADP雇用統計は、雇用統計の結果を予想するトレーダーの心理をはかるために価値がある
・7月は若干イレギュラーな動きをしている
雇用統計で稼ぐ方法
ここまで読んできた皆さんならすでにお気づきかと思いますが、
雇用統計の結果を予想することはそれほど意味がありません。
上で見てきたとおり、例えば7月のように雇用統計の結果から、
チャートの動きを予想することが難しい場合もあるからです。
しかし、雇用統計発表後に発生したトレンドは割と信用できます。
そのため、雇用統計で稼ぐとしたら、雇用統計発表後、
日が変わるまでの超短期的なトレンドを利用して利益を得るのが得策です。
7月と8月の例で言うと、モデルケースはこんな感じです。
1. 21:30に雇用統計が発表される
2. 5〜10分ほどで超短期的トレンドを見極め、押し目でエントリーする
3. 23:30〜00:00くらいで決済し、同時に売り買い逆のポジションでエントリーする
4. 翌日、値が戻った段階で3のポジションを決済する
よく、雇用統計は全モ(全戻し)と言いますが、
実際に雇用統計発表後、値を再び発表前の水準に戻すことが多いです。
この値動きを利用して、2度おいしい取引ができるわけです。
※注意
もちろん、常に上記のような動きをするわけではないので、
エントリーは冷静に状況を見極めて行ってください。
判断した結果、例のような動きをしていると判断できればOKです。