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円安ドル高はいつまで続くか?短期・中期的ドル円相場予想

こんにちは、マスラオです。

先日、ドル円が201711月以来の1ドル114円を回復しました。

直近の高値は、104日に記録した、1ドル114.549円。

このまま、円安ドル高傾向が続くのか、それとも反転して円高ドル安傾向に進むのか、

ドル円の方向性は今が岐路と言えます。

 

そこで、今回は、最近の円安ドル高傾向の要因と、今後のドル円チャートの行方、考えうるエントリーオプションについて考察してみました。

 

円安ドル高の要因

まず、20188月半ば以降のドル円の日足チャートを見てみましょう。

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821日に直近の安値、1ドル109.773円をつけた後、目立った抵抗なくじわじわと値を上げています。

そして、104日、冒頭にも記したとおり、直近の高値である1ドル114.549円をつけています。

上記のようなチャートの動きの要因を、ファンダメンタルズから見ていきましょう。 

 

要因1. FOMC議事要旨公開(822日)

先ほど、821日に直近の安値をつけていると書きましたが、

その翌日、822日の深夜3時に731-81日開催分のFOMCの議事要旨が公表されています。

 

議事要旨は以下の通りです。(ブルームバーグより)

入手されるデータが引き続き現在の経済見通しを支えれば、政策緩和をもう一歩解除するのが近く適切になる可能性が高いことを多くの参加者が示唆した

 

この会合では、米経済の堅調さに支えられたFF金利の追加利上げが支持されています。

実は、この議事要旨発表前、7月と8月の2回にわたって、トランプ大統領がFRBの利上げ政策に対する懸念を表明していました。

822日に発表された議事要旨は、そうしたトランプ大統領の批判を意に介さず、今後も予定通り利上げを行っていくことを保証するものでした。

つまり、この議事要旨の公表によって、FRBがトランプ大統領の圧力に屈して利上げをストップするのではないかという不安が払拭され、

市場傾向がドル買いに傾き、ドル円においては、円安ドル高傾向を形成したものと考えられます。

 

要因2. FOMC議事要旨公開(927日)

さて、「要因1」にあるとおり、FRBにより利上げ継続の意思が明確に示されたため、822日以降のドル円相場は、円安ドル高で推移してきました。

そして、927日には、925-26日に開いたFOMCの議事要旨が公開されました。

 

議事要旨は以下の通りです。(ブルームバーグより)

FF金利誘導目標を0.25ポイント引き上げ、2.00-2.25%のレンジに設定することを決定

 

前回のFOMCで確認された追加利上げの姿勢が、利上げを実行に移すという形で追認されたわけです。

 

正直、この声明自体にサプライズ感はありませんでした。

すでに822日公表の議事要旨で確認されたように、追加利上げは既定路線だと誰もが考えていたからです。

私自身も、この議事要旨は「そこまで強い材料にはならないのでは」と考えていたのですが、思ったよりも市場は素直に反応しました。

チャートの動きに見られる通り、927日以降、ドル円はさらに伸びたのです。

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上記「要因1」と「要因2」で述べた通り、直近のドル円相場における円安ドル高路線のチャートの動きは、

FOMC議事要旨の内容が直接的な要因となり、ドル円相場を下支えしていることによって生じていると考えられます。

 

要因3. 日米首脳会談でトランプ大統領の為替への言及なし

こちらは、FOMC議事要旨ほど影響力はないと考えていますが、

ことドル円に関しては、それなりの材料になっていると考えられる補足的なトピックです。

926日に、ニューヨークで安倍首相とトランプ大統領による日米首脳会談が行われました。

トランプ大統領は、中国とEUを為替操作国だと明言し、中国に対しては実際に関税のアップという貿易戦争まで仕掛けています。

対日貿易赤字に繰り返し言及していたことからも、日本との貿易不均衡に関しても不満があったことは明らかですが、今回の首脳会談では直接的な批判は避けられました。

 

特に、自動車関税引き上げを回避できたことは大きいでしょう。

トランプ大統領は、「友情」という言葉を使って、中国と日本との相違を強調しました。

この一件で、アメリカは日本に対して、貿易面でそれほど敵対的な攻勢を仕掛けないだろうと判断されたことは、さらなる円安の伸展にとって好材料となりました。

 

ドル高を支えるもの

ここまで読んでいただければお分かりかと思いますが、

現在の円安ドル高相場の本質(=前提)は、「ドル高」にあります。

 

それは、ドル円以外のドルストレート通貨ペアの値動きを見てもわかります。

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ご覧のように、上記すべての通貨ペアで、ドル高が進んでいます。

そこで、なぜドルがこれほど強いのか、ドル高の要因について考察してみたいと思います。

 

要因1. 底堅い米景気

現在のドル高の最も直接的な要因は、前章でも説明した通り、FRBFF金利利上げ政策だと考えています。

そして、その利上げ政策を支えるものとして、米景気の堅調さがあります。

以下、ブルームバーグより抜粋です。

 

ただ、足元の米経済は絶好調といっていい。大型減税を受けた個人消費や設備投資の拡大を支えに、46月期の実質成長率は前期比年率4.2%増と4年ぶりの高い伸びとなった。アトランタ連銀が予想する「GDPナウ」では79月期も4.4%増と、潜在成長率の2倍以上の伸びが続く。

8月の失業率は3.9%と潜在失業率を大幅に下回り、労働需給は逼迫している。物価動向を占う平均賃金上昇率も8月は前年同月比2.9%9年ぶりの高い伸びとなった。

 

FRBは長期的な中立金利(経済を加熱も冷やしもしない金利水準)を3.00%と設定していますが、現在のFF金利(201810月時点)はこの水準を大きく下回っています。

 

つまり、各経済指標がこのままの水準で推移すれば、少なくともFF金利が3.00%に達するまでは、計画通り利上げは行われるはずです。 

 

要因2. 新興国の経済不安

トルコやアルゼンチンなどの新興国の経済不安も要因としてあげられるかもしれません。

完全なリスクオン相場というわけではないのですが、

トルコやアルゼンチンなどの経済不安の影響として、基軸通貨であるドルに資金が流入している可能性があります。 

 

要因3. 「リスクオフの円高」は過去のもの?

先日、日経新聞で面白い記事を見つけました。

 

リスクオフのもとでもかつてのように円が上昇しづらくなっていることも、相対的なドルの強さにつながっている。

日本企業は海外進出を強めており、ここ数年は年10兆~20兆円規模の対外直接投資を続けている。加えて、日本で超低金利が続くなか、生命保険や投資信託などの資金が海外に流れている。こうした長期マネーの影響が強いため、リスクオフの局面でも投機筋主導での円高が起こりづらくなっている。

 

つまり、今までは、「有事の際の円買い」と言われるほどの信用を誇った円ですが、

最近はどうもそうではないらしい、という考察です。

おそらく、少しでも為替の勉強をしたことのある方であれば、経済不安などのリスクオン市場においては円高が進みやすいと認識していると思います。

事実、私もそう考えていたのですが、一概にそうとも言い切れない状況になってきています。

 

今後の方向性予測

ここまでの話をまとめると、以下のようになります。

 

現在の円安ドル高相場は、主にFRBによるFF金利利上げ政策によって下支えされており、

その利上げ政策の根拠となっているのは、米経済の力強い成長である。

また、新興国の経済不安からドルに資金が流入していることもドル高の要因となっている

 

以上の要因を踏まえた上で、今後のドル円チャートの方向性予測をしてみます。

考えうる大きな方向性としては2つありますね。

一つはこのまま円安ドル高相場が続くパターン、

そしてもう一つはレンジ相場に戻り円高ドル安に転ずるパターンです。

 

どちらの方がより可能性が高いのかを、円安ドル高が続く条件を検討することで判断してみます。

 

円安ドル高の条件1. 米国の好景気が今後も持続すること

まずは、米国景気が今まで通り堅調な成長を続けることが絶対条件でしょう。

堅実な経済成長のもとでのみ、利上げ路線は継続され、ドル高が下支えされます。

 

現在の米国の景気拡大は9年目に突入しました。

戦後の平均である約5年を超え、戦後最長の景気拡大となっています。

景気には波があります。良い時もあれば悪い時もあります。

これだけ長く景気拡大局面が続くと、そろそろ不況到来か?と誰もが考えると思いますが、今後発生しうる景気後退は、過去の景気後退のような急進的な形をとる可能性が低いと考えています。

 

プレジデントの記事で、米国の現在の景気拡大についての考察がされています。

 

過去を振り返ると、高インフレが終息した1990年代以降の景気後退は、景気拡大の過程で蓄積した資産バブルや過剰債務といった不均衡が、FRBの利上げにより大幅な調整を強いられたことがきっかけであった。1990年代初めは商業用不動産バブル、2000年初はITバブル、2000年代後半は住宅バブルの崩壊が景気後退の引き金となった。

 

現在の景気拡大においては、そうした懸念点が見つからないとするのが記事の主旨です。

 

・資産市場や民間債務には、目立った不均衡の蓄積はみられない

・利上げの効果で景気浮揚効果は抑えられるが、結果的に景気拡大の持続性を高める

FRBの利上げが緩やかにとどまる

 

上記三点の理由により、今回の景気拡大局面は今までとは違い、急激な景気減退を引き起こすリスクが少ないと考えられています。

FRBが金融政策のハンドリングを適切に行えれば、景気減退のリスクはさらに少なくなるでしょう。

 

円安ドル高の条件2. トランプ大統領の為替に対する挑戦的な発言がないこと

相場の方向性は、本質的には米国景気に関連して上がり下がりすると考えていますが、より短期的に方向感が変わるとしたら、トランプ大統領の発言です。

 

7月、8月と続けて、トランプ大統領は、米ドルが各国の通貨に対して不当に高いと発言しました。

この発言が為替に影響を与え、短期的にドル安が進むきっかけとなりました。

直近の日米首脳会談では、為替問題については言及しなかったトランプ大統領ですが、

11月に控えた中間選挙をにらみ、国内向けに強行姿勢を示すために、為替問題に言及する可能性はゼロではありません。

 

円安ドル高の条件3. 日銀の円安抑制政策がないこと

こちらは、ドル円を円側から見た場合の可能性です。

このまま円安が進むと、日銀は行き過ぎた円安を是正するための政策を講じる可能性があります。

 

前回、156月に、1ドル125.86円という13年ぶりの高値にまで上昇した際には、

黒田日銀総裁が、国会で「さらに円安はあり得そうにない」と発言したことにより、

一転円高が進み、16年半ばには100円割れまで記録しました。

現在の相場は、その当時の100円割れの水準から、徐々に徐々に戻してレンジ相場を形成したものですが、日銀も当時の二の舞は起こしたくないと考えているのではないでしょうか。

以下、日経新聞の記事よりの抜粋です。

 

GCIアセット・マネジメントの岩重竜宏チーフFXストラテジストは、ドル・円が120円に向かう場合には、黒田総裁から確実に口先介入があるとみた上で、前回100円割れまでの円高を招いた反省から「次回はもう為替レートには言及しない」と予想。「円金利にプラスの金利が付くような雰囲気のことを言うだけで、ドル・円は5円、10円落ちていく。どううまく5円程度の下げにとどめるのかは黒田総裁の腕の見せどころ」とみる。

 

つまり、今回は前回ほどあからさまな為替介入は行わないのではないかという考察です。

私も、これは正しいと思います。

あからさまな為替介入は行わないし、円安を抑制する発言を行うにしろ、それは1ドル120円程度まで円安ドル高が進んだ後ではないかと考えています。

 

ドル円の行方を占うトピックス

さて、ここまでの議論をまとめてみます。

 

・現在の円安ドル高相場は、主にFRBの利上げ政策によって形成されたものです。

付随的な要素として、短期的には日米貿易問題がそれほど顕在化していないこと、中長期的には新興国の経済不安によってドルへ資金が流入していることが挙げられます。

要するに、円安ドル高の本質は「ドル高」であるということです。

 

・このドル高相場の背景に、米経済の好調さがあり、この好景気がいつまで続くかによってドル円の方向性が決まると考えています。

足元の経済指標を見る限り、景気後退を示す兆候はなく、景気の過熱を抑えるための利上げが行われているくらいなので、この景気拡大局面はもうしばらく続くと考えています。

 

・円安ドル高の相場に影響をもたらすとしたら、それは米国の景気後退か日銀による円安抑制政策が考えられます。

ただし、米国の景気後退は、先に述べた理由により当面起こらない可能性が高く、日銀による円安抑制政策も1ドル120円程度になるまでは実行されないと予想します。また実行されたとしても、前回の円高進行への反省から、影響はなるべく小さくなるよう努めると考えられます。

短期的には、トランプ大統領発言によって反転する可能性もあるため、この点は注意が必要です。

 

ドル円、ここに注目! 

1. 米景気関連指標

 -雇用統計

 -経済レポート(日本総合研究所等)

 

2. 日銀の円安抑制政策

 -日銀総裁の発言に注意

 

3. トランプ大統領発言

 -Twitter、記者会見 

 

チャートから見るドル円

上記のようなファンダメンタルズによって為替が動くと仮定すると、

チャートの動きはどのくらいの幅で考えられるでしょうか。

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上記より、レジスタンス、サポートラインを以下で考えています。

 

レジスタンスライン:114.6

 -2017年以後の上値

サポートライン:112.6

 -ボリンジャーバンドのセンターライン

 

このラインの上下に始値、終値のどちらかが位置したら、大相場の始まりの可能性があるため注目しておきましょう。

 

個人的な投資スタンス

前章で書いた通り、基本はチャートの動きを見ながら、

レジスタンスラインを上回ったら大相場の始まりと判断し「買い」、

サポートラインを下回ったらレンジ相場の復活と判断し「売り」とします。

ただし、エントリーの際には、念のためファンダメンタルズにも気を配ります。

 

正直スワップポイントが悪くないので、個人的な願望としては上に行ってほしいですが、

ここ数日間の値動きを見ていると、再度下に行く可能性も高いのかな、と思ったり。

いずれにせよ、上げ続けてきた相場に対する調整は行われると思います。

 

なので、上でブレイクするにしろ、下でブレイクするにしろ、少なくともあと数日はかかると予想しています。