ざっくりわかりすぎる『ざっくりわかるファイナンス』

こんにちは、マスラオです。

仕事柄、会計関連の本を読み漁っているのですが、

今回は、会計と関係の深いファイナンスの本を紹介します。

そもそもファイナンスというのが、自分の中でふわふわした概念で定まっていなかったのですが、

この本を読んで、「会計」と「ファイナンス」が似て非なる概念だということを知りました。

財務・経理に詳しくなりたい方だけでなく、投資の考え方を学びたい方にオススメの一冊です。

 

こんな人にオススメ

この本は以下のような人にオススメです。

 

経理・財務部で働いている人

FXや株式投資を行なっている人

教養として、ファイナンスについて知っておきたい人

 

私自身、一番上以外は当てはまるのですが、

この本を1冊読むことで、ファイナンスの基本的な考え方をインプットできた感があります。

ファイナンス素人の私にとって、専門用語のオンパレードの本よりも、

誰にでもわかりやすく、それでもしっかり内容が濃いこの本はかなりオススメできます。

 

会計とファイナンスは何が違うのか

まず、日本語と英語である点が違います。

……というのは冗談ではなく、実際に著者もこのような説明から始めるのです。

ざっくりとした会計とファイナンスの違いは以下のような感じです。

 

・会計 : 過去を扱い、利益に焦点を当てる

・ファイナンス : 未来を扱い、キャッシュに焦点を当てる

 

日々の取引を記録し過去の一定期間での収支を見るのが会計、

現在持っているキャッシュはいくらで、それを使って今後どうキャッシュを増やしていくか考えるのがファイナンスです。

 

日本では、どちらかというと会計に脚光があたりますよね。

というのも、会計の一要素である「簿記」が、資格として人気だからです。

 

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現在の100万円と1年後の100万円はどちらが価値があるか

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突然ですが問題です。

 

人類最大の発明は一体何でしょうか?

 

自動車?パソコン?携帯電話?それとも資本主義でしょうか?

答えのないこの問いに対して、アインシュタインはこう言いました。

 

複利こそが人類最大の発明である

 

複利って?

たとえば、100万円を銀行に預けたとします。

利子が1年で5%とすると、1年後には105万円になっています。

 

2年預けるとどうなるでしょうか。

1年で利子が5万円つくので、2年ではその倍の10万円。

元本と利子を合わせて110万円。いえ、それは単利の考え方です。

 

単利 : 元本のみに利子がつく

複利 : 利子繰入後の元本に利子がつく

 

複利だと、1年経過時点の元本100万円 + 利子5万円=105万円に対して2年目の利子がつくので、

 

105万円 × 0.05 = 5.25万円

 

つまり、5万2500円が利子となるのです。

1年目の利子と足すと、5万円 + 5万2500円 = 10万2500円となり、

単利の時よりも利息がたくさんつくことになります。これが複利の力です。

 

現在の100万円は、1年後の100万円よりも価値がある

なぜ現在の100万円の方が価値が高いのか考えてみましょう。

 

未来の100万円なんてもらえるかわからないものより、

今目の前にある100万円の方が重要に決まっているじゃないか

 

そう考えた方、半分正解です。

 

基本的に、不確実性を孕めば孕むほど、お金の価値は低くなります。

口約束で、「1年後に100万円あげるよ」なんて言われても絶対に信じませんよね。

それよりは、今すぐに100万円欲しいと思うはずです。

 

現在の100万円の価値が高いもう一つの理由は、複利の力が使えるからでもあります。

今100万円を預ければ、1年後に105万円になって戻ってくるのであれば、

1年後に100万円をもらうよりも、今手元に100万円ある方が良いに決まっています。

 

価値は不確実性とリターンのバランス

とはいえ、どの時点の100万円の価値が高いかは、結局は不確実性とリターンのバランスによります。

 

今にも潰れそうな銀行があります。

あなたはその銀行から、「利息20%払うから100万円預けて欲しい」と言われました。

さて、あなたは100万円を預けるでしょうか?

 

おそらく預けないと思います。

あなたが100万円預けたとしても、一年後にはその銀行は潰れており、

預けた100万円が返ってこない可能性が高いからです。

 

では、逆に利息が何%ならその銀行にお金を預けようと思うでしょうか?

 

25%?30%?50%?はたまた100%?

 

このラインは人によって違うでしょうが、100万円が1年後に150万円になる可能性があるなら(利息50%)、

金をドブに捨てた気で預ける人も出てくるかもしれません。

 

つまり、この銀行が預金者を集めるためには、高金利を保証して預金を募るしかないのです。

 

そして、その高金利(リターン)と銀行が潰れる確率(不確実性)のバランスを吟味して、

リターンの期待値の方が大きくなると判断した場合、私たちはお金を預けても良いと考えるのです。

 

高金利通貨は不確実性が高い 

このことは、FXにおける高金利通貨がどれほどのリスクを孕んでいるものなのか示しています。

信用のない国は、高金利を喧伝しなければお金を集めることができないのです。

 

たとえば、アルゼンチンの現在の政策金利は70%を超えています。

 

普通に考えたら、100万円を預けたら1年後に170万円になって返ってくるなんてうまい話逃すはずありません。

でも、多くの人は、アルゼンチンの通貨に投資するには、そのくらいのリターンがなければリスクに見合わないと考えているということです。

 

企業で使えるファイナンス

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本書のキモは、上述のように、お金の現在価値と未来価値を比較して、

より大きな利益を将来的に生み出せるか判断するというファイナンスについての考え方の紹介です。

 

普段生活している分には、頭で意識することは少ないでしょうが、

私たちは、「買い物」という投資によってその作業を無自覚的に行なっています。

 

たとえば、スーパーで人参を買うのは、その人参が値段以上に価値があると判断するからです。

 

もし、100円の人参に、80円の価値しかないと思っていたら、あなたはおそらく人参を買わないでしょう。

 

料理に使うのか、うさぎの餌に使うのか、雪だるまの鼻に使うのかはその人次第ですが、

将来的に100円以上の価値があると考えるから、あなたは人参を100円で購入するのです。

 

ROICとWACC

この本では、タイトルからもわかる通り、難しいファイナンス理論はほとんど扱わず、

ファイナンスについて一般人でもわかりやすい平易な言葉で説明するよう努めています。

 

登場する数少ない専門用語のうち、詳しく紹介されるのがROICとWACC。

2つとも、コーポレートファイナンス(企業財務)で頻出の単語です。

 

ROIC : 利益を投下資本で割ったもの

WACC : 投下資本コストの加重平均

 

企業は運転資金を調達する必要があり、株か債権で調達されるコストの加重平均をWACCと言います。

ROICは生み出した利益をそれらのコストで割り、どれだけ効率的に利益を生み出せているかを測るものです。

 

現在では、多くの企業で、KPI管理の一環として、ROICやWACCを経営指標として重視しています。

単純に事業の成績を示すのならば、売上高や営業利益だけ確認できれば十分ですが、

 

投資に対して利益を上げられているのか

 

という視点で経営成績を見ることは、経営層にとっては非常に重要なことです。

 

本書では、著者自身の日産自動車での経験など、具体例を交えながら

コーポレートファイナンスについて語ってくれます。

 

誰でも投資を行っている

投資なんて自分には関係ないと思っていませんか。

 

ところが、ほぼ100%の日本人は投資を行っているのです。

 

銀行にお金を預けるということは、銀行に対して投資を行うということです。

銀行が何もせずに利息だけつけて預金者にお金を返していたら、万年赤字になってしまいますよね。

銀行は、私たち個人が預金(投資)したお金を、企業などに貸して利息を得ることで利益を得ているのです。

 

日常生活の一部に、ファイナンスが関わっていることを知ると、

投資もファイナンスもグッと身近に感じられるようになるのではないでしょうか。