こんにちは、マスラオです。
遅まきながら、PS4版『Undertale』をプレイしました。
結論から言うと、もっと早くプレイしておくべきでした……!
『Undertale』ってどんなゲーム?
製作者はたった一人のアメリカの青年
アメリカのゲーム開発者Toby Fox(トビー・フォックス)氏が、
3年近くもの年月をかけ、ほぼ一人で開発したインディーゲームです。
1991年生まれなので、2015年の完成当時、トビー氏は24歳ということになります。
24歳の若さで、これだけ奥行きのあるゲームを作れるのはすごい。
製作資金は、キックスターターのクラウドファンディングで調達。
当初の目標金額は5000ドルでしたが、その10倍の約50000ドルが集まったそうです。
オールドスタイルのRPGはもう飽きた
ゲームのジャンルはRPG。
一般的にRPGというと、敵モンスターを倒して経験値を稼いでレベルアップし、
ボスを倒してストーリーを進め、次の街に行く……といった流れが考えられます。
『Undertale』も基本的な流れはだいたい同じなのですが、
このゲームでは、敵を倒さなくても、ストーリーを進めることができます。
ボスであっても、倒さなくてもストーリーは進んでしまうんですよね。
もちろん、倒すこともできるので、どちらを取るかはプレイヤーに委ねられます。
RPGにおいて、「敵を殺すのは残酷ではないか」論は結構昔からあり、
たとえば、『MOTHER』では、敵を倒した時のテキストで、
「殺した」とか「倒した」とか言わずに、「土にかえった」と表現していますね。
RPGで、毎回罪のないモンスターを倒すのが心苦しい方は、
『Undertale』のシステムがしっくりくると思います。
『MOTHER』っぽい雰囲気
上で名前が出ましたが、ゲームの雰囲気は、やはり『MOTHER』に近いです。
チープで味のあるドット絵と、語り口が面白い魅力的なキャラクター、
そしてほんわかしたなかにも怖さがあるストーリー。
トビー氏は、かなり日本のゲームから影響を受けていて、
影響を受けた作品の中に、『MOTHER』も含まれるようです。
Twitterでも、糸井重里さんとのツーショットとかが見られます。
個人的な交流もあるようですね。
「UNDER TALL」のトビーさんに、また会ったよ。たのしくゲームの話ができたぜ。 pic.twitter.com/daAa0T90P4
— 糸井 重里 (@itoi_shigesato) March 6, 2019
『Undertale』のここが良い
メインストーリーが王道
変わったゲームシステムや世界観について説明したので、
「どうせ奇を衒った芸術性の高いゲームだろ」と思うかもしれませんが、
実はメインのストーリーはそこまで奇を衒ったものではありません。
簡単にストーリーを説明すると、
モンスターの住む地底世界に落っこちてしまった人間の子供が、
元の世界に戻るために、人間界と地底世界とのバリアを目指し
色々な人の助けを借りながら進んでいくお話です。
かなり王道ですよね。
メインストーリーを複雑にしすぎてしまうと、
ストーリーの考察にばかり気を取られて、世界を堪能できません。
もちろん、隠し要素や伏線など様々に張り巡らされたゲームではありますが、
初回プレー時に、馴染みある文脈で物語が進んでいくのは嬉しいです。
雰囲気が優しい
このゲームを、他のゲームと差別化している点は何かというと、
ゲーム全体に漂う、優しく、それでいてどこか狂った雰囲気です。
登場キャラクターは、自分以外は、敵も味方もすべてモンスターなのですが、
モンスターの中には、自分に優しく接してくれる者もいれば、
一般的なRPGにおける戦闘時のように、主人公に襲いかかってくる者もいます。
単純にモンスターだからと言って、すべて敵扱いとせず、
人間と同じように、感情を持ち、思考する一つの主体として扱うことで、
人間とモンスターの友情なんかを描いています。
この辺りは、先に挙げた『MOTHER』や、
あとは異種族がたくさん出てくるゼルダの伝説シリーズにも近いです。
異種族の交流というテーマでいうと、『テイルズオブリバース』もそうですね。
ただ、本当に、モンスターのデザインがキャラクターごとに違いすぎるので、
上に挙げたゲームよりも、さらに賑やかで楽しいです。
会話がキャッチー
受け入れられる人と受け入れられない人がいると思うのですが、
RPGの会話としては異例なくらいキャッチーな会話が繰り広げられます。
この部分については、ローカライズの担当者にあっぱれと言いたいのですが、
SNS・インターネット時代の、現代の若者の言い回しやネットスラングを
完璧にトレースしており、出てくるキャラクターを身近に感じることができます。
たとえば「草」や「w」のような笑いの表現も普通に出てきます。
メタ的な要素については、賛否両論分かれるでしょうが、
少なくともFFやDQのような真面目すぎるRPGの会話に飽きた人には、
新鮮に楽しめるはずです。
『バンジョーとカズーイの大冒険』のメタ発言が楽しめる人なら楽しめると思います。
戦闘システムが面白い
一般的なRPGのように、
「攻撃/アイテム/逃げる」の中からどれか一つを選んで戦うだけではありません。
戦闘時メニューの中に、「行動」というものがあり、
これを選択すると、敵モンスターと会話することができます。
これによって、敵モンスターの態度が和らいで「にがす」こともできます。
戦闘中に敵と会話してバトルを終了させるのは、
『ペルソナ5』のバトルシステムに近いかもしれません。
また、ターン制という部分は普通のRPGと変わらないのですが、
こちらからの攻撃・モンスターからの攻撃両方に、アクション性が求められます。
たとえば、相手の攻撃をよける際は、
弾幕ゲームのように、四方から降ってくる敵の攻撃をよける必要があります。
単調になりがちな戦闘システムに、アクション要素を持ってくることで、
戦闘そのものも楽しめるようになりますし、仮にレベルが低くても、
敵からの攻撃をずっとよけることさえできれば、強い敵にも勝てます。
このゲームで、レベルアップがそれほど意味を持たないのも、
自分の腕次第で、ある程度敵を倒せるからという理由もあると思います。
なぜこんなに評価が高いのか
で、プレイしてみての最大の謎がこれです。
なぜ、『Undertale』はここまで評価が高いのか
正直私自身はかなり楽しめました。
が、万人受けするゲームではないですし、インディゲームであることもあり、
粗を見つけようとすれば、それなりに見つかるゲームです。
ゲーム最大の批評サイトMetacriticでは、『Undertale』の評価は92点。
これは、『ウィッチャー3』や、『ブラッドボーン』などと同じ数値です。
小規模タイトルで言うと、『風ノ旅ビト』も、同じく92点です。
「こういう」ゲームが好きな層は一定数いる
『MOTHER』のフォロワー的作品って結構あると思うのですが、
『Undertale』ほどの完成度で発売までこぎつけたゲームは他にないと思います。
RPG、不思議な世界観、優しいキャラクター、独特の台詞回し、ドット絵等々……。
私もそうですが、美麗な3Dグラフィック全盛期でも、
一定数は、馴染みのあるドット絵でゲームを楽しみたいという人もいますよね。
普段グラフィックバリバリのゲームばかりやっているので、
たまには、落ち着いた2Dのゲームを楽しみたいという人も。
そういう層にどハマりしたのが、『Undertale』ではないでしょうか。
このゲームは、「それそれ!」というポイントを的確についてくるんですよね。
『MOTHER』系ゲームの正統なフォロワーということで評価されたのだと思います。
インディーゲームの火のつき方
ちょっと前までは、個人が製作したゲームがトップセールスに上がることなど
そうそうなかったわけですが、
『Undertale』しかり『Stardew valley』しかり、最近は個人製作のゲームが、
市場で巨大なセールスを上げることがあります。
これは、個人でも商用ゲームを十分作れるようになってきたことが大きいでしょう。
Unityなどの開発環境やアセットの普及で、パソコン一台あれば、
誰にでもゲームが簡単に作れるようになりました。
特に、旧来型RPGであれば、難しいプログラミングの知識はほとんどいらないので、
ほぼアイデア勝負で、大手メーカーのAAAタイトルと競えます。
こうした時流の波に乗って出た作品が、
上に挙げた2タイトルだったり、『PUBG』だったりするわけですね。
大手メーカーのタイトルは、初めからある程度の需要が見込まれる反面
天井の予測もつきやすいですが、インディーゲームは予測が立てにくいです。
『Undertale』のように、口コミによって広がると、
じわじわと売り上げを伸ばしていき、気づくと100万本とか普通にあります。
販売価格が安いのも「ちょっと買ってみるか」という気にさせるんですよね。
「たまにはこういうゲームも」っていう人にオススメ
ゲームの進化ってすごいですよね。
実写と見紛うばかりのグラフィックで、中東の戦場で銃をぶっ放せる時代です。
美しいファンタジーの世界で、世界崩壊を企む魔物を倒すこともできます。
ただ、もしあなたが、戦争物のFPSや、美麗グラフィックのRPGや、
ゾンビ物のTPSに飽き飽きしていたとしたら、
『Undertale』は、刺激をもたらす一本になってくれると思います。
しばらくゲームから遠ざかっていた方にもオススメ。
結構色々な機種で出ているので、ぜひプレイしてみてください。