こんにちは、マスラオです。
今年のE3で個人的に衝撃を受けたタイトルは2つ。
一つは、『デスストランディング』。そしてもう一つは『WATCH DOGS LEGION』。
Watch Dogsシリーズは、フランスのUbiSoftにより制作・販売される
オープンワールドのアクションアドベンチャーゲームです。
最新作『WATCH DOGS LEGION』は、
今までのWatch Dogsシリーズのアクションを踏襲しつつ、
これまでにシリーズになかった、まったく新しい試みをしています。
ゲーム概要
◾︎タイトル:WATCH DOGS LEGION (ウォッチドッグス レギオン)
◾︎対応ハード:PC/PS4/Xbox One
◾︎発売日:2020年3月6日
◾︎価格:通常版8400円・Gold Edition12000円・Ultimate Edition 14400円
◾︎発売元:UBI SOFT
『ウォッチドッグス レギオン』は、崩壊の危機に直面する近未来のロンドンを舞台に、
レジスタンスを組織して運命を切り開いていくアクションゲームです。
プレイヤーは、街で出会う誰でも仲間に加えることができます。
各キャラクターには、それぞれのバックストーリーや個性、スキルが設定されていて、
プレイスタイルに合わせてレジスタンスメンバーをカスタマイズすることも可能です。
オープンワールドで再現されたロンドン内のインフラやテクノロジーを駆使しながら敵を排除し、ロンドンを奪還しよう。
『レギオン』は、1・2と発売されたウォッチドッグスシリーズの最新作です。
今作は前作までとは違い、一人の主人公を操作するのではなく、
街で出会うすべての人がプレイアブルキャラクターになり得る点が最大の特徴です。
ナンバリングを冠していない理由が、
単純にWatch Dogsシリーズの亜種と見なされているのか、
それとも、同じくUbiSoft制作のアサシンクリードシリーズと平仄を合わせ、
ナンバリングでもサブタイトルをつけることにしたのかはわかりません。
導かれしレジスタンスたち
すべての登場人物をプレイできるというアイデア自体は珍しくないですが、
それを違和感ないレベルでゲームとして表現するのは至難の技でしょう。
『レギオン』で、実現されていることを祈りますが、とりあえず、発売を待つのみです。
私は、このゲームのトレーラーを初めて見た時あるゲームを思い出しました。
それが、『ドラゴンクエスト4 導かれし者たち』です。
古典的RPG像を打ち破った『ドラクエ4』
『ドラクエ4』では、プレイヤーは、章ごとに異なる主人公を操作します。
ドラクエシリーズ唯一のオムニバス形式で、5章すべて主人公が違うのです。
彼(彼女)らは、生まれも育ちもまったく異なりますが、
魔王を倒すという目的だけは共通しています。
最終的に、第5章ですべての章の勇者が集まることになりますが、
それまでは、個々人が、一人で能力を磨いているのです。
通常、RPGであれば、剣を持った勇ましい「勇者」が主人公でしょう。
事実、ドラクエシリーズは、そうした古典的RPG像を自ら作り上げてきました。
そうした古典的RPG・ドラクエ像を覆したのが、『ドラクエ4』だったのです。
『ドラクエ4』の主人公は「勇者」だけじゃない!
ドラクエ4の操作可能キャラクターは以下の5人です。
・1章:ライアン(戦士)
・2章:アリーナ(姫)
・3章:トルネコ(武器商人)
・4章:マーニャ/ミネア(踊り子)
・5章:主人公(勇者)
第5章では、勇者を操作することになりますが、それまではバラバラです。
「戦士」や「勇者」はまだわかりますが、
「姫」や「武器商人」、「踊り子」は、普通プレイヤーにはなりませんよね。
しかも、それぞれに、敵と闘う以外の見せ場があり、
たとえば、トルネコであれば、最初の数日間は武器商人として、
店頭に立って店番をしたりして過ごすことになります。
敵を倒して経験値をもらってレベルアップして……というのとは随分違いますよね。
登場人物の「生活」にスポットライトを当てたのも『ドラクエ4』です。
レジスタンスは、誰もがなりうる
『ドラクエ4』でもそうであったように、『レギオン』でも、
明らかに普通は戦闘員と見なされないようなキャラクターでも操作できます。
たとえば、トレイラーの中に出てきた「おばあちゃん」。
海外ではすでに"GRANDMA"と呼ばれ、ネット上で親しまれているようですが、
腰も曲がっているわ、動きは遅いわで、およそ戦闘員には見えません。
ところが、彼女は、ロボットを巧みに操って機密情報にアクセスし、
スタンガンを使って警備員を気絶させるなど、スパイ行為のエキスパートです。
『ドラクエ4』と同じく、
今までスポットライトが当たっていなかった「勇者ではない普通の人」に、
『レギオン』では、バンバンスポットライトが当たりまくります。
『ドラクエ4』の思想をより突き詰めたゲームに
操作キャラクターは、自分で勧誘する
『レギオン』では、操作できるキャラクターは最初から決まっていません。
街で自分で勧誘して、プレイアブルキャラクターを増やしていく必要があります。
勧誘の仕方もおそらく様々で、
その人のバックグラウンドにあったイベントやアプローチの仕方が存在し、
最も効果的だと思われる接触方法を取ることになるのでしょう。
たとえば、トレーラーでは、ドローンの専門家をプレイアブルにするために、
彼が捕らわれている場所まで行き、敵を倒して彼を救い出します。
ここで芽生えた絆により、ようやく彼をレジスタンスに入れることができるのです。
死んだキャラクターは復活しない
他のキャラクターを勧誘する中で、警察と銃撃戦になることがあります。
その際に、銃で撃たれたキャラクターは、復活しません。
トレーラーを見る限り、
操作しているキャラクターが死ぬと、別のキャラクターを選び、
そのキャラクターでプレイが再開されるようです。
この辺りは、かなりリアリティがあるゲームシステムになっています。
おそらく、「普通の人」が、「普通に死ぬ」ことで、
主人公最強ゲームへのアンチテーゼになっているとともに、
プレイアブルキャラクターが増えすぎないように、管理しているのでしょう。
やっとこういうゲームが出てきた
アイデアは新しくないが、実現するのがすごい
正直アイデアだけなら誰でも思いつくゲームです。
すべてのキャラクターを操作できたら、そりゃあ楽しいですよね。
しかし、一人ひとりのキャラクターをリアルにするためのAIの生成、
オープンワールドで再現するロンドンの街並みなど、開発が困難極まりないことは想像できます。
何より怖いのが、製作陣が意図しない行動をプレイヤーがとるかもしれない点。
複数の操作キャラクターを、同じフィールドで操るのは、パズルのようなものなので、
ちょっとした掛け違いがバグの発端になる可能性もあります。
PS4やXboxOneのハイスペックがあって、ようやく実現できたとも言えます。
『ドラクエ4』のような上手い構成を真似てほしい
ここまで書いてきたように、『レギオン』と『ドラクエ4』には共通点があります。
それは、「勇者」が絶対の主人公ではない点、
市井の住人に対してスポットライトを当てた作品である点です。
『ドラクエ4』では、オムニバス形式で順番にストーリーを進めていくと、
最終的に1本の線でつながりましたが、
『レギオン』では、様々なストーリーが同時に発生することが予想されます。
『ドラクエ4』のように、システム的に新しいだけでなく、
ストーリーにも魅力が出るように、幾重にも重なる人生をぜひ体験したいですね。