E3 2019の任天堂ダイレクトにおいて、スマブラの新キャラとして、ドラクエの「勇者」参戦が発表されました。
ところが、大盛り上がりだった国内に比べて、海外での反応は今ひとつ。
海外では、ドラクエはそれほどメジャーなタイトルではないのです。
同じくスクウェア・エニックス制作の「ファイナルファンタジー」シリーズは海外でも人気なのに、ドラクエはなぜこれほど人気がないのでしょうか。
数字で見る、ドラクエの海外での存在感
以下が、ドラクエ1〜11までの北米と日本それぞれでの売上本数です。
近年では、ドラクエ8・9が、60万本程度売れた以外は、基本的には、10〜20万本程度しか売れないタイトルになっています。
決して「売れないタイトル」というわけではないのですが、「人気タイトル」というほどでもない微妙な立ち位置ですね。
ちなみに、「ファイナルファンタジー」シリーズの売上本数を見てみると、タイトルあたりの売上本数は、日本限定ではドラクエに負けていますが、北米と合わせると凌駕しているものもあります。
また、タイトルによっては、日本よりも、北米の方が売れているものもあります。
なぜ海外の人は、ドラクエに興味を示さないのか
絵が子供っぽい
ドラクエのキャラデザインと言えば、ご存知鳥山明氏です。
鳥山氏の代表作『ドラゴンボール』は、日本と同じくらい海外でも人気です。
ただ、海外では、日本以上に「アニメ=子供が見るもの」という意識が強いらしく、ドラクエのキャラクターデザインは、どうしても子供っぽくみえてしまうようです。
RPGをやるのは、アニメの視聴者層より高い年齢層になるので、見た目でアウトになってしまうという理由が考えられます。
すでに良質なRPGがたくさんある
日本では、昔からドラクエ、FFはRPGの2大巨頭ですが、海外では、『ウィザードリィ』や『ウルティマ』など、本格派のRPGがありました。
「剣と魔法の世界」は、RPGでは定番のジャンルですが、ビデオゲームが興隆した海外では、日本以上に本格的なRPGがすでにあったのです。
ドラクエは、そうした海外製RPGの良いところを取り入れて進化してきましたが、海外のファンにとって、積極的にプレイするほど新奇性を持たなかったのも事実です。
マーケティングの失敗
ドラクエ、FF発売当初、それぞれのゲームを発売する会社は別でした。
ドラクエはエニックス、FFはスクウェアから発売されており、今でこそ、スクウェア・エニックスとして一つの会社になっていますが、ファミコン時代からずっと、二つの会社はライバル関係だったのです。
当然会社ごとに、海外戦略も異なりますが、当時から海外市場を睨み、積極的に海外でマーケティングを行ったのはスクウェアでした。
自社開発のゲームのローカライズを積極的に行い、海外にも販路を求めたのです。
それを証明するかのように、現在のスクウェア・エニックスでも、スクウェア側の開発するゲーム(FFやキングダムハーツ)は、海外でも非常に人気が高いです。
日本人のノスタルジーに依拠している
国によって、ノスタルジーの対象は色々あると思いますが、日本においては、ドラクエ以上にノスタルジーを感じるゲームはないでしょう。
新作の発売がそのまま社会現象となり、現在大人になった人も、子供の頃の思い出として、「ドラゴンクエスト」は大きな存在感を持っています。
システム的にも、現在のRPGから見ると時代遅れな部分も多くなってきており、それこそ「バイオハザード」シリーズのように、システムを一新する思い切りがないと海外では売れないでしょう。
今後の海外展開はどうなる?
ドラクエの今後の海外展開を考えた時、スマブラの「勇者」参戦によって、一つのムーブメントが起こることは間違い無いでしょう。
「MOTHER」シリーズや「F-ZERO」シリーズなど、かつては、コアなゲームファンにしか知られていなかったゲームが、今では一般のライトユーザーにも広く名が知れ渡っているのは、初代スマブラからずっと出続けているキャラクターだからという理由が大きいでしょう。
今回のスマブラ参戦が、海外でのドラクエシリーズのプレゼンスを高め、日本においてのように、人気シリーズに育ってくれると良いと思います。
※海外の反応は以下の記事を参照ください