こんにちは、マスラオです。
つい先日、『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』をクリアしました。
発売から約1年経った2018年2月頃に購入し、その後一度の中断期間を経て、
足掛け1年半、ようやくクリアまでたどり着きました。長かった……
正直、本作は評判通りめちゃくちゃ面白かったのですが、
往年のゼルダファンならではの不満な点もいくつかあったと思います。
そこで、今回は、「時のオカリナ」以降すべての3Dゼルダをプレイした私が考える、
「ブレスオブザワイルドに物足りない要素」について書いてみます。
BOTWはすごいゲームです
まずはじめに、これだけは言わせてください。
ブレスオブザワイルドはすごいゲームです。めちゃくちゃ面白いです。
ゲーム大好きな皆様方には、今更くどくど説明する必要もないと思いますが、
軽く見積もっても、ゲーム業界で10年に1度くらいの傑作です。
私自身、久しぶりに一つのゲームにこんなに没頭しました。
わざわざ出張先のホテルに、Switchを持っていってまでプレイしたゲームは初です。
タイトルには、堂々と「物足りない点」とか書いていますが、
以下に書くことは、あくまで「この要素があればより良かった」という意見です。
「オープンワールドとして」物足りない要素
まずは、本作を象徴する「オープンワールド」という視点から
「次回作では改善してほしい」、「これがあれば良かった」要素を挙げてみます。
①装備品は壊れないでほしかった
本作では、武器と盾に耐久値が設定されており、
その耐久値を超えるまで装備を使用すると、壊れてしまう仕様になっています。
武器や盾は、敵がドロップしたものを使用したり、
宝箱から入手したものを使用したり、落ちているものを使用したりと、
すぐに手に入るものではあるのですが、
強い武器や貴重な盾を手に入れた際は、何となく使用を躊躇してしまいます。
また、「盾サーフィン」を行っても、盾の耐久値は減っていきます。
フィールド上には、盾サーフィンにうってつけの丘陵地帯が多いのに、
「盾が壊れてしまう……」と考えるとなかなかやる気になれません。
強い武器はガシガシ使いたいし、盾サーフィンも余計なことを考えずにやりたいので、
次回作では、耐久値という概念をなくすか、別の解決策を見出して欲しいところです。
②「これ以上 先には進めません」は萎える
オープンワールドの宿命的な課題の一つですが、
マップの端をどのようにプレイヤーに認識させるかは重要です。
今回、マップ端の一部箇所で、進もうとすると、
これ以上 先には進めません
という無機質なメッセージが表示される箇所がありました。
「なんでもできる」ことに気を使って作ったゲームであり、
それ以前に発売された数多のオープンワールドゲームのお手本もあるのに、
任天堂がこんな初歩的なミスを犯すとは思えず、最初は目を疑ったのですが、
マップの端を認識させるのに、開発者からのメッセージという形をとったようです。
次回作では、世界観を崩さないようメッセージを工夫してほしいところです。
③サブチャレンジに心惹かれない
オープンワールド系のゲームの基本文法として、
メインのストーリーに関する「メインチャレンジ(クエスト)」のパートと、
それ以外の「サブチャレンジ(クエスト)」のパートがあります。
本作でも、オープンワールドのお作法からはみ出さず、
メインチャレンジとサブチャレンジの二本立てになっているのですが、
まあ、このサブチャレンジに興が乗らないことといったらありません。
なかったらなかったで、広大なフィールドがスカスカになってしまうのでしょうが、
本作のサブチャレンジには、「とりあえず作ってみた」感がぬぐえません。
謎解きをメインとするゼルダならではのサブチャレンジを考えてほしいです。
④クリア後の世界を散策したい
これは、多くの人が感じるところだと思うのですが、
ガノンを倒して平和になったハイラルを、クリア後に散策したかったです。
確かに、今までのゼルダシリーズにおいても、
エンドロールが流れた後は基本的にプレイすることができず、
最後にセーブした地点(ラスボス前)からしかロードできません。
ただ、オープンワールドの「世界そのものを楽しむ」という考え方からすると、
クリア後の平和になったハイラルを、ゼルダとともに旅したい衝動に駆られました。
現実的な問題で言うと、NPCの会話なども1から作り直しになるので、
かなりチャレンジングな要素になるのは理解できますが、
オープンワールドにしては、やけに最後があっさりしているなと思いました。
⑤都会の街が欲しい
本作に登場する主な街は以下のような感じです。
・カカリコ村
・ハテノ村
・ウオトリー村
・ゲルドの街
・リトの村
・ゴロンシティ
・ゾーラの里
それぞれに個性のある良い街であることは間違い無いのですが、
街の規模としてはどれもそれほど大きくありません。はっきり言うと田舎です。
唯一、都会感を感じるのはゲルドの街(これだけ「街」がついている)ですが、
それにしても、四方はせいぜい200m程度でしょうし、それほど大きくありません。
ゲームに登場する街というのは、容量の問題で大きく作れないのが通例ですが、
努力次第では大きく見せることもできます。
顕著な例が、「アサシンクリード」シリーズで、
たとえば、『アサシンクリードⅡ リベレーション』のコンスタンティノープルは、
コンスタンティノープルまるごと再現したのではないかと思えるほど広大でした。
ゼルダの場合は、他にもフィールドがあるのでそこまで大きくしろとは言いませんが、
トワイライトプリンセスにおけるハイラル城下町のように、
人々の息遣いが聞こえるような熱気ある街は欲しかったですね。
⑥ロード時間が長い
これは、ゲーム終盤、塔の解放や祠めぐりを意識して行うようになって感じました。
まず、祠へのワープ時間が長く、ゲームのテンポを損なっています。
塔へのワープも同様に、10秒程度時間がかかるのですが、
場所から場所へテンポよく移ることを考えると、さすがに長いです。
また、本作は難易度が高く、ゲーム中しばしばゲームオーバーになりますが、
直前のセーブ地点まで戻るロード時間も長いです。
死んで覚える部分もあると思うので、もうちょっとサクサクいきたいですね。
「ゼルダとして」物足りない要素
続いて、ゼルダファンだからこそ思う物足りない要素を挙げてみます。
かなり細かい内容ですが、ファンなら同意できる部分が多いのではないでしょうか。
①「迷いの森」のBGMはサリアの歌であってほしかった
迷いの森の初登場は、『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』ですが、
一般的に「迷いの森」と言ったとき、
最も強く意識されるタイトルは、「時のオカリナ」でしょう。
「時のオカリナ」では、森の聖域の手前に迷いの森がありますが、
ここで流れている「迷いの森のテーマ(=サリアの歌)」がとにかく良いんです。
「トワイライトプリンセス」にも迷いの森が登場しますが、
ここでも流れているのはサリアの歌です。
コンサートでも何度も演奏されるほど、ゼルダの伝説の裏看板的な曲になっています。
BOTWでマップ上に「迷いの森」の文字を発見した時の胸の高鳴りといったら例えようがありません。
「ああ、俺はまたサリアに会えるんだ……」
「青春時代を過ごした迷いの森に再び相見えることができるのか……」
迷いの森へ向かう道中、走馬灯のように、かつての楽しかった記憶が蘇ります。
さて、いざ迷いの森へ着いてみると、私の知っているあの曲が流れません。
確かに、「迷いの森で流れていそうな良い感じの音楽」は流れています。
でも違うのです、私が求めていたのはこれではないのです。
私が求めていたのは、
美しい旋律の中にも、不安と憂愁をはらんだ物悲しいメロディー、
陽の光の入らない鬱蒼とした森の奥で、森の木々の声と聞き間違えてしまうような、
微かな存在感を放っては消えていくあの曲、そうサリアの歌です。
サリアの歌が聴けないと察知した私は、
コログの森への道中を足早に通り過ぎて行くのでした。
(ちなみに、本作では「迷いの森」の抜け方がわからず1時間くらい迷った)
②怖くて妖しい世界観
前作スカイウォードソードの頃から感じていましたが、
かつてのゼルダに感じた「怖さ」というものがなくなってしまいました。
初めて「時のオカリナ」をプレイしたのは小学生の時でしたが、
一発目のデクの樹様のダンジョンに出てくるでかいクモの敵が怖すぎて
しばらくゲームから離れたのを覚えています。(もちろん気になってまたやりました)
他にも、時のオカリナの「井戸の底」や、嵐おじさん、
ムジュラの仮面のクロックタウン、トワイライトプリンセスのフィローネの森のような
どことなく現実味のある狂った日常感が味わえなかったのは残念です。
よくいえば、これまでは人を選ぶゲームだったのが、
刺激が少なめの誰の口にも合う味のゲームになったというところでしょう。
ゼルダファンとしては、清潔な世界には少し物足りなさを感じてしまいます。
③全体的にBGMが物足りない
みなさんは覚えているでしょうか。
「時のオカリナ」で初めてハイラル平原に出た時の感動を……
それまで狭い森の中に閉じ込められていたのに、
いきなり広大な世界を眼前に提示され、戸惑いながらも感動したのを覚えています。
あのシーンと、『ポケモン金銀』のカントー地方進出、
そして、『ゼノブレイド』のガウル平原に足を踏み入れた時の衝撃は、
三大わくわくフィールドシーンとして語り継ぎたいほど素晴らしいものがあります。
ゼルダの場合、「トワイライトプリンセス」でもそうでしたが、
BGMが一気に勇壮なものに変わるんですよね。
「これから冒険が始まるぞ!」感が出て、気分を盛り上げてくれます。
BOTWでは、「始まりの大地」から出た後もBGMといえば、
環境音とちょっとしたメロディーのみです。
オープンワールドにしっかりしたメロディーをつけてもゴテゴテしてしまいますが、
ハイラル平原に出た時など、要所要所でテンションが上がるBGMが欲しかったです。
④重厚なダンジョン
ゼルダの伝説シリーズの特徴といえば謎解きです。
そして、その根幹をなすのが、フィールド上にあるダンジョンです。
「時のオカリナ」〜「トワイライトプリンセス」までの作品では、
このダンジョンというのがゼルダの伝説の中心となる要素で、
下手したらクリアするのに3時間も4時間もかかるダンジョンがありました。
3DS版では若干難易度が下がっていますが、
N64版の「水の神殿」に苦しんだゲーマーも多いと思います。
スカイウォードソードでは、ダンジョンの概念が若干変わりました。
それまでは、フィールド上にある建物がダンジョン扱いだったのですが、
フィールドそのものもダンジョンになり、
「建物の」ダンジョンにたどり着くまでの道程にも謎解きがちりばめられました。
翻って、BOTWにあるダンジョンは4つの神獣とハイラル城のみです。
しかも、どれもそれほど重厚なダンジョンではなく、
小一時間もあればクリアできてしまう程度のものです。
フィールド上にも祠という形でミニダンジョンがありますが、
一発の閃きによって解ける謎が多く、謎解きの爽快感はありません。
ゲーム全体の謎解きの総量は上がっていると思いますが、
それが薄く広くマップ上にちりばめられた感じで、
昔のゼルダのようにダンジョンをクリアした時のカタルシスがありません。
小さな鍵、特殊アイテム、マップ、コンパスなど、
ゼルダの伝説シリーズのダンジョンにお馴染みな要素は多数ありますが、
それらがほとんどないのがBOTWです。
謎解きとは、ある意味不自由さの中でどう解を見出すかということですが、
なんでもできるようになってしまったがために、謎解き要素が薄れてしまいました。
⑤ガノンとの因縁が物足りない
本作のガノンは、本当に「ラスボス」以外の何者でもありません。
会話もできないため、ガノン本人の意思やリンクとの因縁などもわかりません。
一応ガノンはシリーズを通して同一人物であるということになっているので、
これまでの歴史を感じさせるエピソードがあると良いなと思いました。
怖さは今までのガノンと比べてもめちゃくちゃあるんですが、
倒しても今ひとつ達成感が湧かないのは、単純に「ゲーム上のボス」としてそこに置かれているだけで、
リンクとの関係性がいまいち見えてこないからでしょう。
ゼルダであってゼルダじゃない
本作がめちゃくちゃ面白いことは最初に述べたとおりですが、
今までのゼルダが好きだった方は、このゲームは
「ゼルダであってゼルダじゃない」 と思うとより楽しめると思います。
ゼルダの舞台背景と、いくつかのギミックを借りた新作オープンワールドと思えば、
ゼルダシリーズとして見ると物足りないところも許容できます。
と口では言いつつ、やはり従来型のゼルダも恋しくなってしまいますよね。
今後は、BOTW系と、時のオカリナ系の2種類のゼルダが出ることを期待しています。