「The Game Awards 2019」で、フロム・ソフトウェアの『SEKIRO』が2019年度のGOTYを受賞しました。
GOTYは『SEKIRO』、『DEATH STRANDING』は3部門で最優秀賞!The Game Awards 2019各部門の受賞作品まとめhttps://t.co/NcnidM3OMa pic.twitter.com/F5v3XTGBME
— IGN Japan (@IGNJapan) December 13, 2019
にわかに活気付いた日本のゲーム業界ですが、「GOTYって何?どれだけすごいの?」という方に向けて、今回は、GOTYについてまとめてみました。
GOTYって何?
GOTY(Game of The Year)とは、その年に発売されたゲームの中でもっとも優れたゲームに与えられる賞です。
他の分野の「オブ・ザ・イヤー」と同じく、複数のメディア・機関が発表しているものであり、歴史も格も様々です。
GOTYはゲーム業界でもっとも重要な賞の一つと見なされており、GOTYに選ばれるということは、時代の最先端を行くゲームとして認められたということです。
GOTYの種類と権威
Wikipediaに記載のあるGOTYだけ数えても30近くありますが、その中でも影響力の強いGOTYは、俗に「三大GOTY」と呼ばれていたりします。
「三大GOTY」に選ばれるゲームは、名実ともにその年を代表するゲームとして認められます。
TGA(The Game Awards)
もともとは「VGA(Spike Video Game Awards)」として開催されてきた式典であり、複数のゲームメーカーの代表者からなる諮問委員会が、投票権を与える約30のゲームメディアを選定します。
過去の受賞作
GDC(Game Developers Choice)
Game Developers Conference(GDC)という、ゲーム開発者を中心とした会議によって選定されるGOTYです。
選定に関わる人々は、すべて開発者としてゲーム業界に深く関わってきた人たちです。
メディアではなく、「開発者が選ぶ賞」として権威が高いGOTYです。
過去の受賞作
D.I.C.E Awards
コンピューターゲームを促進する非営利団体「AIAS(Academy of Interactive Arts & Sciences)」によって選定されるGOTYです。
こちらもGDCと同じくゲーム開発者が選定委員となる賞ですが、GDCよりも選定に参加する人数が多く、権威と中立性を両取りしたGOTYであると言えます。
過去の受賞作
GOTYを決めるのは簡単?
上に挙げた「三大GOTY」の過去の受賞作を見ると面白いことがわかります。
それは、各年のGOTYが3つとも大体同じであるということ。
3つすべてのGOTYのデータがある2004年から2018年までの15年間(15回)のGOTY受賞タイトルを見てみましょう。
・三大GOTYが同じタイトルを選定:5回
・三大GOTYのうち、2つが同じタイトルを選定:6回
・三大GOTYの選定タイトルがバラバラ:4回
7割以上の確率で、選定するGOTYが被っています。
つまり、GOTYに選ばれるほどのゲームは、個々人の好みを凌駕するほどに圧倒的なタイトルだということです。
ちなみに、三大GOTYを総なめにした5タイトルは以下の通りです。
ここに挙がるタイトルは、GOTYの中のGOTYと言えるでしょう。
日本メーカーはGOTYと相性が悪い?
日本の開発スタジオで作られたタイトルでGOTYを受賞したのは4タイトルのみ。(『SEKIRO』を含めると5タイトル)
しかも、2017年に受賞した『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』の前は、2005年の『ワンダと巨像』、『バイオハザード4』まで10年以上遡らなければなりません。
日本製タイトルが今までGOTYを獲れなかったのは、個人的には以下の2つが原因であると考えています。
1. HD化の波にうまく乗れなかった
ゲーム機がHD化したのは、2005年に発売されたXbox 360からです。
2006年には、同様にHDハードであるPS3が発売されましたが、日本で覇権を握ったのは同年に発売されたSDハードWiiでした。
Wiiは、「ゲーム人口の拡大」という当時の任天堂のコンセプトを体現したハードであり、2004年に発売されたDSと同様、これまでゲームをしてこなかった人たちをターゲットにしたハードでした。
そのため、発売されるゲームは、ミニゲーム集のようなライト層向けのものが多くなり、たまに気骨のあるゲームが発売されても、バリバリHDで製作している海外製のゲームには敵わなくなりました。
Wiiは日本だけでなく世界でもブームになりましたが、アメリカなどではXbox 360のシェアもかなり高く、海外メーカーは着々と技術力を磨いていったのです。
2. 世界の流行と日本の流行がまったく異なっていた
2000年代前半から中盤のゲーム業界における世界的な流行は「FPS」であり、2000年代後半からの潮流は「オープンワールド」です。
一方、日本は良くも悪くも、ドラクエ・FFが昔から王座を守っています。
新しいジャンルやゲーム性を次々と生み出し、新規IPの創出を積極的に行っていった海外デベロッパーのゲームに比べ、日本製の旧態依然としたゲームが古臭く感じられるのは仕方のないことかもしれません。
当時、GOTYを受賞した日本製タイトルを見ても、新しい要素がなければ世界的な評価は得られないことがわかります。
たとえば、『ワンダと巨像』は、ビデオゲームに新たな作家性と芸術性をもたらしましたし、『バイオハザード4』は、それまでのシリーズの操作スタイルを覆し、TPSの概念を一新しました。
日本メーカーに復権の兆しあり
2019年のGOTYを『SEKIRO』が受賞したように、日本メーカーも技術力と新規のIP、高い創造力を持っていることを示しました。
『デスストランディング』など、これまでの概念を覆すタイトルも続々出てきていますし、日本製のゲームが再び世界の主役になる日は近いかもしれません。