国内メーカーでは任天堂に次ぐヒットメーカーであるサードパーティの雄カプコン。
海外での販売比率が70%を超えており、全世界でのミリオンセールスのタイトル数は、なんと93タイトル!(2019年9月末現在)
カプコンの強みといえば、何と言っても新規IPを次々発売する開発力の高さ。
人気シリーズの販売が落ち込んでも、すぐに次の人気シリーズを作り出すのがカプコンの凄さです。
本記事では、現在まで続くカプコンの強力なIPに注目しつつ、これまでのヒット作をカプコンの歴史とともに振り返ってみます。
- 1983年:カプコン設立
- 1984〜5年:業務用ビデオゲームに参入
- 1986年:ファミコンに参入
- 1987年〜:『ストリートファイター』、『ロックマン』発売
- 1991年〜:『ストリートファイターⅡ』が社会現象に
- 1996年〜:『バイオハザード』発売。ホラーゲームの歴史が変わる
- 2001年〜:『鬼武者』がPS2初のミリオンヒットを達成
- 2004年〜:『モンスターハンター』発売
- 2006年〜:『デッドライジング』発売
- 2007年〜:シリーズものが屋台骨を支える
- 2018年〜:『モンスターハンター:ワールド』がカプコン史上最高の販売を記録
- データで見るカプコン製タイトル
1983年:カプコン設立
「電子応用ゲーム機器の開発および販売」を目的として設立された「アイ・アール・エム」株式会社の販売部門担当会社として、株式会社カプコンが設立されます。
当初は、ゲームセンターに置くメダルゲーム機の開発や、直営ゲームセンターの経営などを行っていたようです。
任天堂もそうですが、歴史のあるゲーム会社って、意外と最初から家庭用ゲーム一本でやってきたところは少ないですよね。
1984〜5年:業務用ビデオゲームに参入
さて、ここから「ゲームメーカー」カプコンとしての歴史が始まります。
第一弾となるアーケードゲーム『バルガス』を皮切りに、『1942』、『戦場の狼』、『魔界村』などを次々と発売し、業務用ビデオゲームに本格参入します。
『戦場の狼』や『魔界村』は、多少ゲームに詳しい人なら一度は聞いたことのあるタイトルでしょう。
特に、『魔界村』は、モバイルでも続編が発売されるなど、カプコン最初期の作品にもかかわらず、現在の露出量が多い作品となっています。
◾︎この時期に発売されたゲーム
・1984年:『バルガス』(アーケード) ※初タイトル
・1984年:『1942』(アーケード)
・1985年:『戦場の狼』(アーケード)
・1985年:『魔界村』(アーケード)
1986年:ファミコンに参入
アーケードゲームだった『戦場の狼』、『魔界村』を、当時一大ブームを巻き起こしていたファミコン用ソフトとして発売します。なんと、『戦場の狼』は114万本、『魔界村』は164万本の大ヒットを記録します。
ここから、カプコンの「家庭用ゲームメーカー」としての歴史が始まります。
◾︎この時期に発売されたゲーム
・1986年:『魔界村』(FC)
・1986年:『戦場の狼』(FC)
1987年〜:『ストリートファイター』、『ロックマン』発売
現在もカプコンを代表するIPとして世界的に人気のある「ストリートファイター」と「ロックマン」の最初の作品がこの年に発売されています。
カプコンを象徴するゲームジャンルといえば、「アクション」と「格闘」ですが、その代表作が同じ年に発売されていたのですね。
「ストリートファイター」シリーズは、非常に派生作品の多いシリーズではありますが、この当時から、カプコンは「◯◯エディション」と微妙にバージョンを変えて再発売するという商法を見出すようになります。
◾︎この時期に発売されたゲーム
・1987年:『ストリートファイター』(アーケード)
・1987年:『ロックマン』(FC)
・1989年:『ファイナルファイト』(アーケード)
・1990年:『ファイナルファイト』(SFC)
1991年〜:『ストリートファイターⅡ』が社会現象に
『ストリートファイター』の続編として1991年に発売されたアーケードゲーム『ストリートファイターⅡ』が、社会現象になるほどのブームを見せます。
いわゆる「ストⅡブーム」として知られるこの現象によって、「ストリートファイター」シリーズは、今日まで格闘ゲームの金字塔的なポジションを手に入れることになりました。
カプコンはまさに黄金期。
翌年の1992年には、スーパーファミコン版も発売され、こちらも大ヒットを記録します。
◾︎この時期に発売されたゲーム
・1991年:『ストリートファイターⅡ』(アーケード)
・1992年:『ストリートファイターⅡ』(SFC)
・1993年:『ブレスオブファイア』(SFC)
1996年〜:『バイオハザード』発売。ホラーゲームの歴史が変わる
プレイステーション用ソフト『バイオハザード』が発売されます。
ホラーゲームとしては異例のロングセラーを記録し、「サバイバルホラー」という新しいジャンルを確立します。
もともとそれほど期待されていたタイトルではなく、「出演者の英語が怪しい」という物言いがつきつつも、ゾンビから逃げつつ、古びた洋館の謎を解いて脱出するというゲームデザインと、プレイヤーを怖がらせる演出が評判となり、口コミでじわじわと販売本数を伸ばしていきました。
「振り向きゾンビ」や、「窓を突き破って侵入してくる犬」など、多くのゲーマーにトラウマを植えつけたのもこの作品です。
また、1999年には、『バイオハザード』のシステム・エンジンを使った『ディノクライシス』が発売され、こちらも大ヒットを記録しています。
ゲームデザインからグラフィックから驚かせる演出まで、何から何まで「バイオっぽい」のですが、こういうところにカプコンの商才がよく現れています。
「二匹目のドジョウを狙うなら自分たちが」という姿勢が非常に清々しいですね。
(もちろん『ディノクライシス』は、完成度の高い良ゲーです)
◾︎この時期に発売されたゲーム
・1996年:『バイオハザード』(PS)
・1998年:『バイオハザード2』(PS)
・1999年:『ディノクライシス』(PS)
・1999年:『バイオハザード3 ラストエスケープ』(PS)
・2000年:『バイオハザード コード:ベロニカ』(PS)
・2000年:『ディノクライシス2』(PS)
2001年〜:『鬼武者』がPS2初のミリオンヒットを達成
2001年にPS2に参入すると、『鬼武者』を発売し、PS2用ソフトとしては国内初の100万本を達成します。
主人公のモデルに金城武を起用するだけでなく、企画にまで俳優に参加してもらうなど、斬新なゲーム制作の手法でも話題を呼びました。
「鬼武者シリーズ」は、PS2で何本か発売された後、長らく沈黙を保っていましたが、2018年には初代のリメイクが発売され、久しぶりのIP復活となりました。
また、同年に発売された『デビルメイクライ』も大ヒットし、「アクションといえばカプコン」のイメージがますます強くなっていきます。
「デビルメイクライ」シリーズも、一旦休止期間があった後、試行錯誤しつつもPS4で見事IPの復活を果たしています。
同年にはGBAで『逆転裁判』が発売されています。
カプコンとしても、ゲーム業界としても異色の法廷アクションでしたが、その完成度の高さと、熱くなる法廷バトルは新しいジャンルを生み出しました。
◾︎この時期に発売されたゲーム
・2001年:『鬼武者』(PS2)
・2001年:『デビルメイクライ』(PS2)
・2001年:『逆転裁判』(GBA)
・2002年:『鬼武者2』(PS2)
・2003年:『デビルメイクライ2』(PS2)
・2003年:『ビューティフルジョー』(GC)
・2003年:『ロックマン エグゼ』(GBA)
2004年〜:『モンスターハンター』発売
2000年代後半以降のカプコンを代表するタイトルとなる「モンスターハンター」シリーズの最初の作品がPS2で発売されます。
PS2で初代が発売された当時は、「面白いゲーム」という評判がありながらも、販売本数は今と比べるとまったく奮いませんでした。
もともと、多人数で協力するオンラインプレイを念頭に置いたゲームだったのですが、当時のPS2ではネットワークプレイをするためのハードルが高かったのです。
◾︎この時期に発売されたゲーム
・2004年:『鬼武者3』(PS2)
・2005年:『バイオハザード4』(GC)
・2005年:『戦国BASARA』(PS2)
・2005年:『モンスターハンターポータブル』(PSP)
2006年〜:『デッドライジング』発売
かつて、「バイオハザード」シリーズでゾンビゲームの定番を作ったカプコンがXbox 360で発売したのが『デッドライジング』です。
「サバイバルホラー」だった「バイオハザード」シリーズと比較すると、ホラー要素がかなり薄く、どちらかというと「サバイバル」に主眼が置かれています。
「ゾンビゲーム」というと、夜だったり、暗いイメージだったりが連想されますが、このゲームで舞台となるのは真昼間のホームセンター。カプコンの、斜め上を行く発想力が存分に発揮されたゲームになっています。
Xbox 360の高性能を存分に引き出しており、100体以上のゾンビが同時に画面に出現するシーンでも処理落ちしなかったことに当時驚いたのを覚えています。
この当時は、Xbox 360向けに『ロストプラネット』を発売するなど、国内メーカーとしては珍しく、HD機での開発にかなり積極的でした。
この時代に蓄積した技術があったからこそ、国内メーカーの中でも、カプコンは世界との競争で置いて行かれずに済んだのかもしれません。
◾︎この時期に発売されたゲーム
・2006年:『大神』(PS2)
・2006年:『デッドライジング』(Xbox 360)
・2006年:『ロストプラネット』(Xbox 360)
2007年〜:シリーズものが屋台骨を支える
この時期、次代を担う圧倒的なIPは登場しませんでしたが、「バイオハザード」シリーズや、「デッドライジング」シリーズなど、安定的な人気を誇るシリーズ作品で、順調に売上を伸ばしていきます。
そして、この時期にもっとも成長したのは、なんと言っても「モンスターハンター」シリーズでしょう。
PS2で発売された『モンスターハンター』、『モンスターハンター2』は、ミリオンヒットを記録することはありませんでしたが、主戦場を携帯ゲーム機であるPSP(のちに3DS)に移してから、モンハンは社会現象となります。
特に、中高生の間では、ポケモンと並ぶほどの人気を見せ、PSPで発売された『モンスターハンターポータブル 3rd』は、490万本の売上を記録します。
これは、国内限定の人気かつDSと比べ販売台数の少なかったPSPでの記録ということを考えると驚異的です。
◾︎この時期に発売されたゲーム
・2007年:『モンスターハンターポータブル 2nd』(PSP)
・2009年:『ストリートファイターⅣ』(PS3、Xbox 360、PC)
・2009年:『バイオハザード5』(PS3、Xbox 360、PC)
・2009年:『バイオニックコマンドー』(PS3、Xbox 360、PC)
・2009年:『モンスターハンター3』(Wii)
・2010年:『ロストプラネット2』(PS3、Xbox 360、PC)
・2010年:『デッドライジング2』(PS3、Xbox 360、PC)
・2010年:『ゴーストトリック』(DS)
・2010年:『モンスターハンターポータブル 3rd』(PSP)
・2012年:『ドラゴンズドグマ』(PS3、Xbox 360、PC)
・2012年:『バイオハザード6』(PS3、Xbox 360、PC)
・2013年:『DmC Devil May Cry』(PS3、Xbox 360、PC)
・2013年:『モンスターハンター4』(3DS)
・2013年:『デッドライジング3』(PS3、Xbox 360、PC)
・2016年:『デッドライジング4』(Xbox One、PC)
・2017年:『バイオハザード7 レジデント・イービル』(PS4、Xbox One、PC)
2018年〜:『モンスターハンター:ワールド』がカプコン史上最高の販売を記録
2018年1月に、シリーズ初のHDタイトルとして、『モンスターハンター:ワールド』が発売されました。
日本でのみガラパゴス的に人気のあった「モンハン」シリーズでしたが、本作は初めて海外で受け入れられたモンハンになりました。
それまでのカプコンの最高売上本数は、『バイオハザード5』の750万本でしたが、『モンスターハンター:ワールド』は、その倍近くに上る1410万本を売り上げたのです。
◾︎この時期に発売されたゲーム
・2018年:『モンスターハンター:ワールド』(PS4、Xbox One、PC)
・2018年:『ロックマン11 運命の歯車!!』(PS4、Xbox One、Switch)
・2019年:『デビルメイクライ5』(PS4、Xbox One、PC)
データで見るカプコン製タイトル
※データはカプコン公式HPのIR情報より