今回紹介するのは、『Don't Look Back』というゲームです。
日本語にすると、「振り向くな」というタイトルのこのゲーム。
ホラーゲームのようにも思えますが、実はとても美しく物悲しい作品なのです。
『Don't Look Back』は、個人の開発者によって作られ、2009年に公開されました。
現在は、iOSやAndroidなどに対応し、スマートフォンでプレイすることができます。
ゲーム概要
◾︎タイトル:Don't Look Back
◾︎対応ハード:iOS、Android
◾︎ジャンル:アクションアドベンチャー
◾︎開発元(個人):Terry Cavanagh
AppStoreで「DLB」と検索すれば一番上に出てきます。
また、iOS版、Android版ともに無料でプレイすることができます。
開発者のTerryさんは、このゲームが最初にリリースされた2009年頃に、たくさんのFlashゲームを作っていますが、このゲームもそのうちの一つです。
シンプルかつ完成度の高いゲームデザインは、リリース当初から話題になりました。
操作方法もゲームデザインもかなりシンプル
『Don't Look Back』(以下『DLB』)で必要になる操作は非常に限られたものです。
方向キーの右左でキャラクターを動かすほかは、丸ボタンでジャンプ、銃ボタンで銃を打つのみの操作です。
押すボタンは、たった4つ。
長押しも連打も、複数ボタンの同時押しも必要ありません。
古典的な2D横スクロールアクションなので、ひたすら前へ前へと進んでいくだけです。
冒頭から長々とムービーシーンを見せられることも、先へ進むためのアイテムをしらみつぶしに収集する必要もありません。
だけど激ムズ。とにかく「死にゲー」
このゲームが恐ろしいのは、難度が恐ろしく高いこと。
きっと、プレイするあなたはゲーム中に何度も何度も死ぬことになるでしょう。
死んで覚えるゲームは、「死にゲー」と言われますが、『DLB』もその一種です。
レベルデザインは、『アウターワールド』や『Trial』に近いかもしれません。
(特に『アウターワールド』には、アートデザインの面でも似通っています)
操作に慣れておらず、出てくる敵も多い中盤までは、結構な回数死ぬと思います。
ですが、ここでめげてはいけません。
進めなかった部分をクリアできた時の喜びが特大なのも『DLB』の特徴です。
それに、死んでも、同じ画面からローディングなしですぐにリスタートできるので、死ぬこと自体のストレスはそれほどないはずです。
台詞はない、だけど心にずっしりきます
このゲームには台詞がありません。
ストーリーが語られることも、状況説明もありません。
ただ、暗い色調で描かれた8bitの世界があるだけです。
『DLB』をプレイする人は、ストーリーについてすべて理解することは難しくても(実際に、ストーリーについてはいくつもの考察がされています)、そのストーリーで描かれる悲劇については理解できるはずです。
軽くストーリーをお話しすると、ゲームは、妻の墓の前でその死を悼む夫が佇んでいるところから始まります。
彼は、妻を冥府の世界から連れ戻そうと、自らもまた、冥府の世界へと旅立ちます。
これが、ゲームの導入部分です。
ゲームは、大きく2つのパートに分かれており、後半のパートで、プレイヤーは、「Don't Look Back」の意味を知ることになります。
この「Don't Look Back」を伝える演出が、シンプルなのに、ゾワっとする怖さがあり、初回プレイから何年か経った今でも、プレイすると鳥肌が立ちます。
ギリシャ神話に題材をとる
『DLB』は、ギリシャ神話の「オルフェウスとエウリュディケ」の伝説に題材を取っています。
以下、Wikipediaから伝説について引用します。
オルペウスの妻エウリュディケーが毒蛇にかまれて死んだとき、オルペウスは妻を取り戻すために冥府に入った。彼の弾く竪琴の哀切な音色の前に、ステュクスの渡し守カローンも、冥界の番犬ケルベロスもおとなしくなり、冥界の人々は魅了され、みな涙を流して聴き入った。
ついにオルペウスは冥界の王ハーデースとその妃ペルセポネーの王座の前に立ち、竪琴を奏でてエウリュディケーの返還を求めた。オルペウスの悲しい琴の音に涙を流すペルセポネーに説得され、ハーデースは、「冥界から抜け出すまでの間、決して後ろを振り返ってはならない」という条件を付け、エウリュディケーをオルペウスの後ろに従わせて送った。
目の前に光が見え、冥界からあと少しで抜け出すというところで、不安に駆られたオルペウスは後ろを振り向き、妻の姿を見たが、それが最後の別れとなった。
この伝説のストーリーを翻案したのが『DLB』です。
このストーリーを頭に入れてからプレイすると、ゲームの面白さと理解度が倍増するはずです。
クリアまでのプレイ時間は約1時間
とにかく死にまくる本作ですが、テンポが良いことに加え、ゲーム自体も長くないので、1時間もあれば十分クリアできてしまうと思います。
ゲームが得意な人は、初回プレイでも30分ほどでクリアできるのではないかと思います。
価格も無料ですし、サクッとプレイしたい時におすすめのゲーム。
スマホで硬派なゲームがないか探している人はぜひプレイしてみてください。
ただし、絶対にイヤホンをしてプレイしてくださいね!