今回レビューするゲームは、Nintendo Switchで発売された『脳を鍛える大人のNintendo Switchトレーニング』です。
Nintendo DS以降の任天堂ハードを代表するシリーズではありますが、WiiやWii Uでは発売されておらず、今回のSwitchでのタイトルは、なんと2012年以来の新作です。
- ゲーム概要
- 脳年齢測定は1日1回10分で完了
- トレーニングのバリエーションが多い
- なんだかんだで細菌撲滅が楽しい
- モーションセンサーを使った新たなトレーニングも
- みんなで遊べる対戦ゲームも充実
- 手書き文字の認識精度はややストレス
ゲーム概要
◾︎タイトル:脳を鍛える大人のNintendo Switchトレーニング
◾︎対応ハード:Switch
◾︎ジャンル:パズルゲーム
◾︎発売日:2019年12月27日
◾︎開発元:任天堂
本作は、Nintendo DSならびに3DSで発売された「脳トレ」シリーズの最新作です。
DSで発売された初代『脳トレ』は、国内外で爆発的な脳トレ・知育ブームを巻き起こし、ソフト自体の販売本数の凄まじさもさることながら、DSの普及台数を大きく押し上げる要因ともなりました。
◾︎「脳トレ」シリーズの販売本数
・脳を鍛える大人のDSトレーニング(2005, DS)
→日本:385万本、世界:1900万本
・もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング(2005, DS)
→日本:509万本、世界:1488万本
(*Wikipediaより)
実は、初代『脳トレ』は、故岩田社長肝いりの作品であり、子供からお年寄りまで、誰もが夢中になってプレイしたという点で、「ゲーム人口の拡大」という岩田さんの悲願を達成するのに一役買ったタイトルです。
岩田:
『脳トレ』は2004年12月2日、ニンテンドーDSの発売日に先生のところにお訪ねして、社内で勝手につくった試作ソフトをお見せしてご提案したことがきっかけで生まれました。
それ以来のお付き合いになりますが、偶然にも、わたしと先生は同世代で、たくさんの共通体験を持っているんですよね。
川島:はい、同じ学年なんですよね。
岩田:
わたしはそのことを知って、「自分で会いにいって、お願いしよう」と思って、『脳トレ』の試作ソフトを持っていきました。
その当時、まだ加齢医学研究所ではなかったですね。
(*3DS版発売時の「社長が訊く」より)
※岩田社長のゲーム哲学については、こちらの記事も参照ください
本作も引き続き東北大学の川島隆太教授の監修のもと開発されており、ゲームをプレイしたことがない人でも楽しんで脳を鍛えることができるようになっています。
脳年齢測定は1日1回10分で完了
これまでのシリーズ作品と同様に、脳年齢が測定できるのは1日に1回だけです。
そのため、不甲斐ない成績をとらないためにも、この1回に集中して臨みます。
脳年齢は、「抑制力」、「処理速度」、「短期記憶」という3つの軸で測れるようになっており、この3つの脳年齢を平均した年齢が最終的な脳年齢となります。
「抑制力」のテストは、画面上に現れる文字を、「A→1→B→2→C→3→……」のような順番で繋いでいくテストです。
「処理速度」のテストは、簡単な計算を25問解き、「短期記憶」は、5×5マス(計25個)の数字を場所とともに記憶するテストです。
実際にやってみたところ、「処理速度」や「短期記憶」は、概ね実年齢に近い数値が出たものの、抑制力に関しては、(おそらく)計測できるマックスの値である70歳でした。
正直、この「抑制力」のテストは、「こんなにできないものなの!?」と、自分でもびっくりするくらい難しかったです。
ちなみに、毎日の脳年齢測定でプレイするテストは、上記以外にも何種類かあります。
トレーニングのバリエーションが多い
脳年齢測定以外にも、気に入ったトレーニングを毎日何回でも行うことができるモードがあります。
トレーニングを1回でも行うと、カレンダーにハンコを押すことができるので、モチベーション管理もバッチリです。
このトレーニングにもたくさんの種類があり、毎日トレーニングを続けていくと、新しいトレーニングがアンロックされたりします。
トレーニングの種類も千差万別ですが、たとえば以下のようなものがあります。
・計算25:画面に表示される簡単な四則演算問題25問を解く
・新聞音読:昔の新聞記事を声に出して2回読む
・名曲演奏:楽譜に合わせてピアノの鍵盤を叩く
私のお気に入りは、2つの作業を同時に行う能力を伸ばすトレーニングで、画面の上の方で、人間にハードルを飛び越えさせながら、画面の下の方で、出てくる数字の中でもっとも大きい数字をタッチします。
一度に複数のことを行うのがこれほど難しいことだと初めて気づきました。
聖徳太子には尊敬の念しかありません。
「ああー!」とイライラを声に出しつつも、何回もプレイしてしまいます。
なんだかんだで細菌撲滅が楽しい
そんな毎日のトレーニングの中でも、私がもっとも気に入っているのが「細菌撲滅」です。
実は、細菌撲滅は、正確には「トレーニング」の位置付けではないらしく、他のトレーニングをその日に1種類でも行っていればプレイできるようになります。
トレーニングを何も行っていない状態でプレイしようとすると、「他のトレーニングを行ってからにしてくださいね^^」と、やんわり川島教授に注意されてしまいます。
完全に、「ご褒美」の位置付けですね。
しかし、この細菌撲滅が面白くてたまらない!
ルールは基本的にドクターマリオと同じです。(BGMまで同じです)
ドクターマリオを知らない人のために説明しておくと、細菌撲滅は、「落ちもの系」と呼ばれるパズルゲームの一種で、『テトリス』や『ぷよぷよ』のように、上から落ちてくるオブジェクトを画面内であれこれして消していくパズルゲームの一つです。
ゲームがスタートすると、画面上には青や黄色や赤の細菌がランダムに配置され、上から降ってくる同じ色のカプセルを、細菌と合わせて4つ繋げることで、細菌を消すことができます。
ゲームの目的は、この細菌をすべて消すことです。
一度ハマるとなかなか抜け出せなくなり、もう一回、もう一回とやっているうちに気づいたら朝になっていることも珍しくありません。
(脳トレなのに、完全に不健康なプレイをしてますね)
ちなみに、この細菌撲滅は、「かんたん・ふつう・むずかしい」の3つの難易度があり、私はずっと「ふつう」でプレイしているのですが、腕に自信がある方は、最初から「むずかしい」でも良いかもしれません(細菌撲滅したときの爽快感は「かんたん」でも味わうことができます)。
モーションセンサーを使った新たなトレーニングも
これまで、「脳トレ」シリーズは、主にタッチパネルを使った脳年齢測定やトレーニングが中心でした。
もちろん、Switchはタッチに対応しているので、タッチパネルを使用したゲームもたくさん収録されているのですが、本作ではもう一つ、SwitchのJoy-Conについているモーションカメラを使って遊ぶことのできるゲームが用意されています。
それが、「後出勝負テスト」や「指計算」であり、後出ししてじゃんけんに勝ったり、指を使って書かれている足し算に、自分の指で数字を作って答えたりします。
みんなで遊べる対戦ゲームも充実
今回、Switchでの発売ということで、複数人でプレイするモードについてはかなり充実しています。
「お手軽トレーニング」というメニューがあり、ここからプレイできるゲームはすべて複数人で対戦できるトレーニングになっています
種類は全部で6種類あり、ルールも簡単なので、まさしく「お手軽」に友達や家族とトレーニングできます。
Joy-ConがSwitchの画面から取り外し可能なのはやはり強く、Switchを一台持っていれば、二人でのプレイが簡単にできるのが良いです。
手書き文字の認識精度はややストレス
「計算25」など、スピードと正確性の両方を要求されるトレーニングも中にはありますが、文字の認識精度が微妙だな、と感じることがちょくちょくあります。
ちゃんと書いているのに認識されないこともあれば、「これでいいの?」というくらいぐちゃぐちゃに書いた文字や、まだ書き終わっていない文字が正しく認識されることもあります。
個人的に、認識されづらいと感じているのは、数字の「4」。
4が認識されないために、何度誤答と判断されたことか……。
モーションカメラも含め、認識の精度には若干の課題があるという気がしますが、それでもゲーム性に致命的な影響を与えるほど深刻なものではありません。
パッケージ版には、「Nintendo Switch タッチペン」が付いているそうなので、本来はパッケージ版を購入するべきなのでしょう。(私はダウンロード版を購入したので、文字は指で書いています)
ダウンロード版とは1000円ほど値段が違いますが、完全にストレスフリーでプレイするために、パッケージ版を購入しても良いかもしれません。