Googleによるゲームのストリーミングサービス「Google Stadia」が、2019年11月19日にサービスを開始して以来、およそ2ヶ月が経ちました。
開始間もないサービスでありながら、アップデートがされなくなって、すでに40日以上が経過していることが、海外で話題になっています。
ITの巨人Googleは、この件に関して、一体どのように考えているのでしょうか。
Google Stadiaとは
Google Stadiaとは、Googleによるクラウドゲーム配信サービスです。
今までのゲーム機は、PS4やSwitchといったハードウェアと、そのハードウェアで動作するゲームソフトをパッケージ/ダウンロードのいずれかで購入する必要がありました。
しかし、Google Stadiaでは、月額料金を払えば、自分のPCで、新たにソフトを購入することなく、ストリーミング形式で好きなゲームをプレイすることができます。
◾︎Googleのクラウドゲームサービス
・サービス名:Google Stadia(ステイディア・スタディア)
・プラットフォーム:Google Chromeウェブブラウザ
・月額:9.99ドル
・4K HDR 60fps 5.1chに対応
・プレイできるタイトルは順次拡大
Amazon Prime VideoやNetflixなど、映画やアニメの配信については、すでにストリーミングがメジャーな手法となっていますが、ゲームのストリーミングサービスは、まだ始まったばかりです。
Googleの他には、SONYも、「PlayStation Now」という、PS4やPCで、ゲームをストリーミングプレイするサービスを実施しているほか、マイクロソフトも同様のサービスをスタートさせています。
ゲームストリーミングの問題点
そもそも、ゲームストリーミングは技術的に大きな困難を伴います。
先行するPlayStation Nowも、パッケージ版/ダウンロード版と比較して、入力遅延や、画質・フレームレートの劣化が起こりやすいことから、まだまだゲームプレイの方式としては、メジャーなものとなっていません。
「月額制で遊び放題」と言うと聞こえは良いのですが(プレイできるタイトルも最新タイトルが多く魅力的)、人気タイトルには人が集中し、混雑することによってますます遅延が深刻になることもあるなど、快適にプレイするための技術的なネックは、まだ多く存在しています。
◾︎ゲームストリーミングの問題点
・膨大なデータ通信量(1時間あたり7.14GB。4Kでプレイ時はさらに倍増)
・サーバー通信に伴う、画面表示と入力のラグ
・パッケージ版/ダウンロード版からの画質の劣化
PlayStation Nowは、当初は月額2500円でしたが、2019年10月1日には、月額1180円に大幅値下げすることを発表しています。
Google Stadiaに対抗するためという意味もあるでしょうが、現在のサービスクオリティで月額2500円では、サービス利用者がいなくなるという危惧もあったのではないでしょうか。
Google Stadiaの現状
以下の内容がredditに投稿され、まだサービスが開始されていない日本においても、Google Stadiaの状況が明るみに出ました。
・(2020)年内に120本以上のゲームを追加する計画が発表されたが、その後何の音沙汰もない
・120本のゲームのうち、明らかにされたものは1本もない
・スマートフォンはPixelフォンのみに対応しており、iOSについては言及されていない
・ブラウザ上での4K動作、アシスタント機能、ワイヤレスコントローラ機能などが装備されるまで2ヶ月以上かかると思われる
・無料サービスや、家族でのシェアプランについて何も発表されない
・ファンやコミュニティの声が届いているかわからない
・デイリーアップデートが廃止され、ウィークリーアップデートに。しかしそれも廃止
これを見る限り、GoogleはGoogle Stadiaについて、やる気を失っているように見えます。
このredditの投稿に関し、Googleは、海外ゲーム情報サイトGameIndustry.bizを通じて、以下のように回答しています。
・ユーザーの不満はもっともである
・120タイトルの発表時期は、パブリッシャー次第であり、Googleからは発表できない
・発表する準備はできていないが、120タイトルは用意している
「ゲームの発表タイミングはパブリッシャー次第」というのは、まさにその通りだと思いますが、120タイトルという数字をあげるのは悪手だったかもしれません。
ユーザーは、プレイできるタイトル数に興味があるわけではなく、自分がプレイしたいゲームがラインナップに含まれているかどうかに興味があるからです。
先に挙げたPlayStation Nowや、マイクロソフトがスタートさせた同様のサービスもあり、競合が手強い状況なので、おそらく景気の良い数字を掲げることで、Stadiaの優位性を担保しようとしたのでしょうが、この点は逆効果になってしまったようです。
ゲームストリーミングの今後
今回は、Google Stadiaがたまたまニュースになっていたので取り上げましたが、その他のクラウドゲームサービスも未だに課題が山積みです。
パッケージ版・ダウンロード版と同等のクオリティでゲームがプレイできるようにならなければ、ストリーミングがゲーム販売の主力となることは難しいでしょう。
『デス・ストランディング 』の小島秀夫監督は、「数年以内にゲームはストリーミングが主流になる」と語っています。
5Gの商用サービスが始まる今のタイミングで、米グーグルはクラウドゲームのサービスを発表しましたし、アップルもゲーム配信を強化します。
クラウド化はゲーム操作による画面の1フレームをサーバーで画像処理して個人に届けます。専用のゲーム機はなくなり、受け皿はスマホでもタブレットでもパソコンでも何でもよくなります。
クラウドゲームは5~6年前にブームの兆しがありましたが、爆発的なヒットに至りませんでしたね。失敗という声もありますが、私はそうは思いません。水面下でテクノロジーは進んでいたわけです。
4Gでは実現は難しいですが、5Gが始まって5年以内には、エンタメ自体がガラリと変わると思います。これまでよりもっと自由な世界がやってくるでしょう。
実際に数年以内にそうなるかどうかはともかく、映画、漫画、音楽などの他の娯楽がストリーミング全盛となっている以上、長期的な流れとして、ゲームもストリーミングに移行していくのは避けられないでしょう。
Google Stadiaも、その他のサービスも、ストリーミング時代を築く礎石となるために、技術革新を続けていき、快適なゲームプレイを実現してほしいところです。