台湾のゲームスタジオ「Red Candle Games」によって開発され、2019年2月19日に発売された『還願 - Devotion』は、諸々の事情により、発売から約1週間で販売が停止され、1年経つ2020年2月現在においても、未だに販売が再開されていません。
ゲーム概要
◾︎タイトル:還願 - Devotion
◾︎対応ハード:PC
◾︎ジャンル:ホラーアドベンチャー
◾︎発売日:2019年2月19日
◾︎開発元:Red Candle Games
開発元であるRed Candle Gamesは、台湾のゲームスタジオであり、同スタジオの前作『返校 - Detention』は、Steamだけでなく、Nintendo Switchでも発売され、日本でも話題になりました。
『返校』は、台湾で起こった白色テロルを扱った、歴史×ホラーを題材とした作品でしたが、本作は、同じく台湾を舞台にしながらも、個人の内面に迫っていくホラーゲームとなっています。
横スクロールのアドベンチャーゲームだった前作と異なり、本作では、ゲームは基本的に一人称視点で進みます。台湾の文化や風習、宗教を扱うという点では前作から変わっておらず、探索と謎解きをベースにして、より世界観にのめり込めるようなゲームになっています。
ストーリー
マンションに足を一歩踏み入れると、聞こえてきたのは懐かしい80年代の歌謡曲。テレビにはオーディション番組が流れている。こんなに懐かしい光景のはずなのに、なぜ不安を掻き立てられるのだろう?
あなたはかつて「家」と呼ばれたこの空間で探索する。多くの予期せぬ変化の中、どんどん奇怪さが増していく周囲の環境に血の気が引く。ひとつ、またひとつと過去の思い出を歩み、何層にも重なった幾多の謎を解くにつれ、「家」に埋もれた耐えがたい真実を徐々に掘り起こす。
いつか、誰かがあなたにこう言った。「誠意をもって願えば、願いは必ず叶う。」
(*公式サイトより)
舞台は、1980年代の台湾。
前作『返校』の舞台は、1960年代の台湾なので、それよりも少し時代は進みます。
レビューサイトの記事によると、物語の中心となるのは、とある3人家族。
売れっ子作家の父、かつて女優だった母、そしてその二人に愛された娘。
この幸福な家庭が、ある事件をきっかけに崩れてゆくのですが、プレイヤーは、時系列の異なるマンションの一室を探索しながら、家族の秘密に迫っていくことになります。
*画像は、IGN Japanのプレイ動画より
なぜ販売停止になったのか
本作は、販売開始以来、Steam上で非常に高い評価を受けていましたが、中華人民共和国の国家首席である習近平国家主席を揶揄するメッセージがゲーム中に含まれていたことから、販売停止に追い込まれてしまいました。
ニュースサイトによると、ゲーム中に登場するお札の中に、「小熊維尼習近平(くまのプーさん習近平)」と書かれているものがあったとのこと。
Xi Jinping Winnie the Pooh!
— Lio (@lioking77) February 25, 2019
#Devotion還願 pic.twitter.com/PIZmKjs9v9
さらに、そのお札には、語呂合わせで「お前の母親はバカだ」と読めるメッセージも含まれていたとのことです。
「習近平がくまのプーさんに似ている」というネタ自体は、ネット上でしばらく前から流行っていますが、このお札が習近平をバカにしたものだと捉えられ、台湾と微妙な関係にある中国のユーザーが大騒ぎした結果、販売停止に追い込まれてしまいました。
今後の販売再開はあるのか
開発元のRed Candle Gamesは、ゲーム内のアセットを再度チェックし、不適切な文言がないかどうかを確認してから、再度Steamで販売したいと述べています。
しかし、その発言から1年経った現在でも販売再開の兆しはなく、Red Candle Gamesが別の新作の開発を行っているという噂もあることから、販売再開は絶望的との見方が現時点では強いです。
2019年7月には、Steamを通じ、今回の一件対して、影響を受けたチームや人々に謝罪するとともに、損害を受けた人々に対する補償と、被害拡大のための努力をすると述べています。また、不要な誤解を防ぐために、しばらくは、『還願』の販売を再開しないことも発表されました。
今回の騒動でパブリッシャーとの契約も打ち切られてしまったRed Candle Gamesですが、『還願』自体のゲームの出来はすこぶるよかったようなので、騒動が沈静化した後、適切なパブリッシャーと再度契約して、販売再開してほしいところです。